前のパートでは産婦人科検診バイトのメリットをお伝えしましたが、実際は、非産婦人科専門医が検診技術を身につけることがもっともハードルが高いと言えます。ここでは、非産婦人科専門医である筆者がどのようにして技術を習得したかや、おすすめの方法についてお伝えします。
「物事ははじめが肝心」であり、習い事も研修病院選択も同様のことが言えます。初期研修医時代は、将来の選択科に関わらず、様々なローテート科で上級医のサポートのもとどんどん実践できることがメリットですので、より実践力のつく(いわゆるハードな)研修病院を選ぶことがおすすめです。
筆者の場合、初期研修の間は第三次救急病院を選択したことが功を奏して、研修医の間に産婦人科検診を含む多数の健診・検診業務に携わることができました(研修医が無料で健診・検診業務にこき使われていたとも言いますが...)。
これから初期研修医になる学生のみなさんは、ぜひ実践的な研修ができる病院(いわゆる全国的に有名な初期研修人気病院)を選択し、やってみたいというアピールをどんどんして機会を得てください。ローテート中に技術を身につけると効率的ですし、たとえ希望科でなくても将来必ず役に立つと思います。
残念ながら大学病院を初期研修病院に選ぶと、大学病院では紹介患者が主であり、初期研修医が診察することでトラブルが起こることを避けるため(特に産婦人科診察はデリケートなので)、患者診察や検査の機会はほぼありません。また、紹介患者はすでに診断のついた進行癌の方が多いので、正常所見を学べる機会が少ないというデメリットがあります。
すでに産婦人科以外の道を選んだ後期研修医以降の方は、前述したような方法は無理なので、自力で力をつけるしかありません。
幸いなことに、プライマリケアや家庭医療といった分野に注目が集まり、若手医師の中でも希望する人が多くなってきたため、産婦人科医が書いた、プライマリ医向けの産婦人科本が複数発売されています。さすがに動画(DVD)がついているものは見たことがありませんが、非専門医にもわかりやすいように写真やイラストを織り交ぜながら、簡単な言葉で器具の種類、使い方、診察方法といった検診に必要な情報が説明されており非常に役に立ちます。
さらに、乳がん検診であれば乳がんの写真だけを集めた本、子宮頸がん検診であれば、頸がん写真(コルポスコピー写真)を集めた本も異常所見を見逃さないために役に立ちます。検診では異常に出会う機会が少ないため、異常所見をたくさん見て感覚を身につけることも大事です。
さらに、医師支援会社などが(不定期にですが)開催する非産婦人科医のための講座受講もおすすめです。
ここでは、医師年数に応じた産婦人科検診の知識・技術の身につけ方についてお伝えしました。それでもやはり実践が怖いという方がほとんどだと思いますので、次回お伝えする乳がん検診および頸がん検診のパートにも目を通してみてくださいね。検診現場の状況なども踏まえてより詳しくお届けします!
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |