このパートでは、「ウィメンズヘルス(女性診療)」からさらに「乳ガン・頸ガン検診」に絞って、筆者の経験から検診技術習得に役立った本について具体的にお伝えしていきます。
日本乳癌学会(編集). 患者さんのための乳癌診療ガイドライン 2016年版. 日本乳癌学会, 2016. これからの乳癌診療
大内 憲明 (著, 編集). マンモグラフィによる乳がん検診の手引き─精度管理マニュアル─【電子版付】. 日本医事新報社, 2018.
東野英利子 (著), 菊地和德 (編集). 乳癌検診従事者のための乳房超音波トレーニング. 金原出版株式会社, 2014.
霞富士雄. 乳がん視・触診アトラス. 医学書院, 2009.
ガイドラインの本は分量的に多くないので、目を通しておくと患者からの質問にも慌てることなく無難に答えることができると思います。検診には治療後の方や、精査をされた方が2〜3割の確率でおり、診断・治療に関して質問されることもあるので、これらの概要を理解しておくと安心です。
ガイドラインが文字ばかりで読む気がおこらない方におすすめなのは、患者向けに書かれた『名医が語る再診・最良の治療乳がん:あなたに会ったベストな治療法が必ず見つかる!!.』です。患者向けなので、文字や絵が挿入されておりわかりやすいですし、「よくある質問」が取り上げられていて患者の質問に答える際に参考になりました。
出来れば目を通してほしいのが4番目の『乳がん視・触診アトラス』です。非専門医は乳がん患者の所見を実際に目にすることが少ないのですが、このアトラスを目に焼き付けることで異常所見がどのように視えるのかという「診察眼」を、本を通して養うことができます。
さらに、2、3番目に挙げているマンモグラフィーおよびエコーの本ですが、ここで挙げた以外にもたくさんの専門書があります。それらの中から各1冊でよいので読むことをすすめます。ドック検診では、マンモグラフィー画像をカルテ画面から見ることができるところが少なくないですし、エコー部屋は診察ブースの横に設置されていることが多いので、異常所見があった時にはその患者の画像を後から確認することで、診察・診断技術を伸ばすことができます。DVD付きの本や、ケアネットシリーズでは乳房超音波トレーニングのDVDが販売されていますので、そちらの講義もおすすめです。
日本婦人科腫瘍学会(編集). 子宮頸癌ガイドライン 2017年版. 日本産婦人科腫瘍学会, 2017.
日本婦人科腫瘍学会(編集). 改訂コルポスコピースタンダードアトラス. 日本婦人科腫瘍学会, 2017.
植田政嗣. 動画で学ぶコルポスコピー新分類への対応. MEDICAL VIEW, 2013.
栗原 操寿. コルポ診の臨床ABC. 中外医学社, 2016.
頸ガン検診に関しても、ガイドラインに目を通しておくことは基本です。頸部視診を学べる本は、コルポスコピーの本しかないのですが、異常所見の写真画像をたくさん見ておくことで、診察眼を養うことができます。筆者もはじめのうちは、薄いコルポスコピーの本を現場に持参して、「異常かな?」と思ったときは写真画像と比較していました。
筆者は、初期研修医時代に乳ガンおよび頸ガン検診を行っていましたが、経験症例数が少なく再開時にはブランクがあったので、ここで挙げた本で再度勉強しなおしてから現場に挑みました。現場で実践してみると、疑問点や患者からの質問で対応に困ったことなどが多々あり、そこからさらに勉強することで徐々に知識・技術を伸ばすことができた経緯があるので、みなさんもここで紹介した本などである程度知識を入れたら実践に移してみてくださいね!
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |