
妊娠中の看護師にはどこまで仕事ができるのか、その規定はかなり大まかなものです。なかでも妊娠に危険が及ぶ業務とは、どのようなものだか想像がつきますか?移動介助などの重労働だけが危険な業務ではありません。今回は、実際のエピソードを元に妊娠に危険が及ぶ業務について紹介していきます。
妊娠に危険が及ぶ業務、放射線などの被ばく
まず思い浮かぶのが、放射線などの被ばくです。放射線科で働く看護師や診療科病棟によっては、放射線科へヘルプに出る場合、そのまま処置や検査を一緒に行う場合もあります。そのようなときに、放射線装置などの被ばくには注意しなければいけません。被ばく測定器や鉛プロテクターの着用、距離を保つことなどが必要です。
しかし、長時間鉛プロテクターを着用することは重量があるため、妊娠中にはかなり負担となりそうです。
病院ごとに医療従事者の被ばく管理は徹底されていますが、個人被ばくの管理には不十分な点もあるため、妊娠がわかった時点で早めに相談している人も多いです。場合によっては、担当部署の変更なども考えられます。
妊娠に危険が及ぶ業務、感染症患者のケア
看護師として働くと、感染症患者のケアは日頃から多いかもしれません。特に妊娠中の母子感染には注意が必要で、胎児に感染すると障害が残る可能性もあります。なかでも、B型肝炎、HIV/AIDS、水痘、風疹、単純ヘルペスウイルス、トキソプラズマ症、梅毒などには注意です。
妊婦健診でも検査は行いますが、すべての感染症をチェックしているわけではないので、日頃から感染予防の意識を持つことが大事です。
日々の受け持ち患者はリーダー業務を行う人が担当をつけることが多いかもしれませんが、リーダーや上司に相談して、感染症患者を担当しないように配慮してもらっている人もいます。妊娠中はメンバーとしてではなく、リーダー業務をメインにしている人も多いです。
妊娠に危険が及ぶ業務、不穏やせん妄患者のケア
意外とまわりでも危険だと声を聞くのが、不穏やせん妄患者さんのケア。何か対応しているときに、突然お腹を殴られたり、蹴られたという場面があるようです。どうしても、ケアをするときに目に入りやすい部分もあるかもしれませんが、これは妊娠中に限らず危険なことです。
しかし、病棟によっては高齢者が多く、不穏やせん妄患者が多いところもあります。そうしたところでは、なかなか周りの協力を得るのが難しいようです。「妊娠しているだけで面倒な患者を担当しなくていい」と言われたことや「私も昔はそうだった」という負の連鎖に縛られていることなどがあげられます。
まとめ
こうした危険業務と隣り合わせの看護師で、仕事を続けるのが厳しい場合、退職をして職場を変えるという人もいました。マタハラという言葉があるように、職場の協力が得られないという理由も多いようです。妊娠をして出産を考えている看護師は、このことも含めて仕事について検討していってほしいです。
この記事を書いたひと
 |
|
ゆみかおる
看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。
|