訪問看護師はひと昔前、ある程度の臨床経験があって、ベテランでないとできないとされていましたが、最近では少しずつそのイメージも変わってきています。今回は訪問看護師として働くために必要な情報をまとめました。
療養する利用者さんの自宅に看護師が訪問し、生活を支援する仕事です。対象年齢は高齢者だけではなく、赤ちゃんから成人まで幅広く看護を提供しているのが特徴です。実際の仕事内容は、利用者さんの状態の観察や身の回りの世話、医師の指示による処置、予防ケア、ご家族の支援などが大きなものです。
訪問看護ステーションでも、地域柄やステーションの方針によっては小児せ精神科に特化したところや、ターミナルや脳血管疾患の利用者さんが多いところなどとさまざまです。そのなかで、一日何件と利用者さんのところをまわり、看護を提供しています。病院と比べると、より利用者さんの生活をメインとした関りが重要になってくるでしょう。医学的な知識や目に見える看護技術よりも、生活期でケアをやりたいと考える看護師に向いていると思います。
答えはイエスです。ここ数年で、病院から在宅へと患者さんの移動が活発となり、訪問看護ステーションや老人福祉施設なども急増しています。そのなかで、以前までは訪問看護師はベテランでないとできない、臨床経験がそれなりにあって、一通りの医療処置ができなければいけないというような高い壁がありました。
しかし、実際には長年病院で勤めていた看護師が訪問看護師として働き始めると病院とのギャップに耐えられない人や、ハードワークで辞めたいという人もいるようです。そのため最近ではベテラン看護師に限らず、新卒や若手の就職、育成も行っていく方向へ動いています。そもそも、病院でも看護師不足がいわれていますが、在宅の現場でも看護師不足は同じです。今後、さらに訪問看護師の需要は増えていくことでしょう。
看護学校や大学ではあまり訪問看護を新卒から進めてくる教員は多くはないかもしれません。いまだに、看護師は病院で働くもの、最初は病棟で働くというイメージが強いところも多いため、さまざまな壁が立ちはだかるかもしれません。それでも、在宅分野の教員に話を聞いたり、訪問看護ステーションをいくつか実際にまわったりして、自分で情報を集めていくことで、道は開けてくることでしょう。
しかし、気を付けなければいけないことは、新卒でも受け入れてくれる訪問看護ステーションは実際にあるけれど、教育体制が整っていないのに人手不足で新卒を採用しようとするところもあるということです。ここに新卒の看護師が入ると、見学もなしにいきなり利用者さんを担当させられたり、一日の訪問数が多すぎたり、オンコール当番のしわ寄せがくるなど、かなりブラックなステーションも存在するようです。
大手の訪問看護ステーションや小さな個人でも教育体制を整えて、勉強会や研修が充実しているところもたくさんあります。または、訪問看護に関する育成プログラムを行っている団体などもあるため、そこで勉強するという方法も可能です。
新卒で訪問看護師となる場合には、まだ課題が多い部分でもあります。しかし、これからは少しずつ環境も整い、実際に新卒で訪問看護師となった人も増えてくることが見込まれるため、今後も注目です。
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |