女性薬剤師のみなさん、職場環境はいかがですか。福利厚生は職場を評価する重要なポイントですが、上手く活用できていない制度はありませんか?法律でも社内でも認められているのに、知らないことで利用していないなんてもったいないですよね。今回は福利厚生のなかでも取得率の低い看護休暇についてまとめてみました。
看護休暇とは小学校就学前の子どもがいる場合、急な受診などのために年間5日(2人以上の場合10日)まで取得できる休暇です。もちろん当日の申請により取得可能で、配偶者が専業主婦(夫)でも問題ありません。また、雇用者は業務に差し支えがあるとしても拒否できません。
看護休暇は、女性の約96%が取得するとも言われる育児休暇に比べて非常に認知度が低く、その取得率は25%に留まるそうです。育児休暇は業務の引き継ぎなどを計画的に行える一方で、看護休暇は急なことも多いため、申請しにくい背景もあります。有給か無給かは社内規程によるので、有給休暇を子どもの急病のために温存する人もいるようですね。
計画的に休暇を取得できないとはいえ、0~3歳は年間に約8~11回は受診すると言われます(日本健康学会誌, 2018, 84(3), 95-108)。小児感染症で保育所へ預けられない期間もありますから、全てを有給休暇で賄うのは難しいかもしれません。そうした場合こそ、ぜひ看護休暇を活用してください。
看護休暇にしろ、有給休暇にしろ、その日になってあわてるのではなく事前に急病の場合はどうするか(曜日ごとの代替候補、引継ぎBOXの設置など)をスタッフ内で相談しておくのがおすすめ。特にカツカツのシフトで業務をしている職場では、急な空きで他のスタッフも慌て、職場内の雰囲気が悪くなることも当然です。
他にも小さな子どもがいるスタッフがいれば、助け合いで協力を得やすいでしょう。大変な時こそ事前準備をしっかりすれば、無駄な人間関係のトラブルを避けられるはずです。
薬局で調剤をしていると、いかにも子供のために仕事を休んで来た、というような保護者に会うことがありますよね。中には疲れきった方も。何度か来局し、顔見知りになった後でチャンスがあれば「看護休暇」の取得をおすすめするのも良いでしょう。
制度を知っていれば保護者の生活の質を大きく変えられることがあります。目の前の処方薬の説明だけでなく、家族背景まで考えられれば信頼に繋がります。とはいえ、家庭や職場の環境は非常に個人差が大きいため、伝え方も難しいのが現実。あくまで「こんな制度がありますよ」というお知らせに留めておくのが良いでしょう。
産休、育休に比べて知られていない看護休暇。周りが取得していないとなかなか申請しづらいですが、労働者の権利としてぜひ活用してくださいね。自分で活用するのはもちろん、他のスタッフや来局者などにもおすすめして、みんなが取得しやすい環境を作っていきましょう。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |