初期研修医制度が施行されてから自分で好きな研修病院を選べるようになり、初期研修時のローテーションを経て自分の好きな科を選択できるようになりました。
それでもはじめに選んだ科から転科したい場合、どんな転科のパターンがあるか、また、望ましい転科のタイミングはいつかなどについてお伝えします。
転科を希望する医師のパターンは大きく二つに分けられます。一つ目ははじめに選択した科と類似した科に転科する場合、二つ目ははじめに選択した科とは全く異なる科へ転科する場合です。
一つ目の例としては、救急科や総合診療科など幅広く患者を診る科や、内科でも専門性を高めた膠原病内科や感染症内科などへの転科が挙げられます。
二つ目は、子育てなどの事情により放射線科やリハビリ科など比較的定時に帰れる科への転科する場合や、全く異なる分野に興味を抱いたから転科するというケースもまれですが存在します。さらに、臨床を離れて研究に主軸を置くケースもあります。
必要に迫られてすぐに転科を迫られる状況もありますが、ほとんどは自分の意向による転科です。その場合は、なるべくはじめに選択した科において専門性を高めてからの転科がおすすめです。
というのも、ある程度医師としての勤務年数を経てから転科すると、必然的に上位のポジションにつくこととなります。その際に、特に自分の強みとする専門性がなければ転科にともなう転職にも不利となります。
例えば、消化器外科や心臓外科で修行を積んでから救急科、あるいは膠原病内科や呼吸器内科で専門医を取ってから総合診療科へ転科すると転科先でも培った専門性はかなり重宝されます。
浅く幅広く診る科よりも専門性の高い科をはじめに選択しておくと転科および転職に有利に働くでしょう。
働き方を変えるための転科も、新しい転科のあり方として存在感を発揮しています。
女医が増加しているものの、まだまだ男性社会の医療組織では子育てや介護などのサポートに対応できておらず、女医の離職率は依然として高いのが現状です。
そんななか、健診業務や外来のみといったアルバイトや非常勤形態で働く医師が増加しており、この勤務形態では専門としていた科とは異なる科の診療にあたることもあるため、これも一種の転科といえます。
この勤務形態は、長時間拘束されることがなく、当直や夜間オンコールに対応しなくてもよい、わずらわしい組織の人間関係に振り回されなくて良い、単価が高いなどのメリットがあり今後も女医増加により需要が伸びていくでしょう。
初期研修制度の導入により、医局に属する若手医師が減少し自由に勤務先や科を選択できるようになったこと、女医が増加していることなどから今後も転科する医師は少なくないと思います。
どのような転科理由であっても、できれば自分の専門性を高めてからの方が就職には有利ですので、転科のタイミングについては十分に検討してください。
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |