ほとんどの医療現場は、未だ長時間労働が当たり前であり、特に、医師として働き始めた数年は、大抵一番忙しい現場に身を置いています。
ここでは、そのような現場で働きながらの子育てで直面する問題についてお伝えします。
子育てをしながら専門医や博士号を取得した女医の話を聞くと、乳幼児期から長時間保育所に子供を預けていたと言う人がほとんどです。
医師として働き始めて約10年間は基本的な技術や知識を身につける重要な修行期間であり、この時期に長期にわたり臨床現場を離れてしまうと第一線の医療現場に復帰しにくいという事情があるからです。
しかし、キャリアを優先すると必然的に子供と接する時間が短くなり、乳幼児期の一番可愛い時期に長時間にわたり子供を他人の手に委ねなければなりません。
愛情不足と感じた子供が問題行動を起こすこともあります。小学校以降では預かり施設が限られるため鍵っ子も多いのが現状です。
このような事情から、子育てのために転職をする女医は多く、現在は女医の再就職や転職をサポートする転職サイトが複数あるため、利用するとよいでしょう。
出産・子育てのために1~2年臨床現場を離れる女医も多く、一度臨床現場を離れると、特に、手術がある外科系では第一線で働くことが難しくなります。
苦労して専門医や博士号を取得しても、子供を預かる施設が少なくなる小学校時期には外来やアルバイトのみの勤務に変更する人も少なくありません。
また、医師同士の結婚では女医に育児の負担がかかり、女医がキャリアを諦めることも多いのです。子育てに比重を置けば当然キャリアアップの時間は減少しますし、頑張って博士号まで取得しても子育てのためにキャリアを活かせないジレンマを抱えることとなります。
しかし、子供がある程度自立する中学生〜高校生になると、フルタイム勤務で復帰することも可能であり、子供が小さいうちは焦らず子育てを優先してもよいでしょう。
仕事と子育てを両立するためには、子供を預ける保育施設の確保が必須です。都心部は、仕事の種類や職場の選択肢は豊富にありますが、待機児童問題があり保育施設を見つけるだけでも一苦労です。
妊娠・出産のために退社する人も多いのですが、そうすると保育施設申し込みの選考点数が低くなってしまい、なかなか入れません。
このような事情から、妊娠したらなるべく早めに保活を始め、各々の自治体により異なる保育施設に関する情報集めを行いましょう。
また、保育施設ごとに応募条件が異なる未認可施設も視野に入れて幅広く探しましょう。さらに、子供が病気になった時、急に休めない所がほとんどですので、両親の助けが得られない場合はやや高額ですが病児シッターの手配も必要となります。
このように、女医として働きながら子育てをする場合、子育てかキャリアかどちらかに比重を置かなければならず、必ず一方にしわ寄せがきます。
保育施設に預けっぱなしで子供が寂しい思いをしないように、キャリアと子育ての優先順位を十分に考え、子育てに責任を持たなければなりません。
![]() |
めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |