女性医師が多くなったとはいえ、まだまだ男社会であり、また女性同士でも立場が異なればぶつかることも少なくありません。ここでは、女性医師が受けることの多いパワハラ(身体的苦痛、精神的苦痛、過大・過少要求、プライバシー侵害など)を紹介しながら、その対処法についてもお伝えします。
医療界はまだまだ男社会であり、特に外科は体育会系で上下関係に厳しく、性別による不平等な扱いを受けることも少なくない職場です。体育会系の職場でよくみかけるのは、おっとりした性格の医師をターゲットにして徹底的に叩く風習です。
上級医がそのような態度をとると下級医もそれに従わざるをえず、その結果一人二人とうつ病になって職場を離れた人をこれまで何回も見聞きしてきました。自分を変えることはできても、古い慣習や他人を変えることは難しいものです。
自分が上級医になったらそのような態度を絶対にとらないこと、自分がターゲットになってしまった場合は転職を早めに検討することも大切です。転職で良い職場を見つけて復帰した女医もたくさんいます。
人員が少ない職場では、女医が一人妊娠すると当直体制や病棟業務に大きな支障をきたします。そのため、上司から「妊娠をするな」と言われたというケースをよく聞きます。
また、経営者から呼び出され、出産後は産休ではなくそのまま辞職をすすめられたというのは、同僚および上司の女医におきた身近なケースです。さらに、女医同士は結束力があるといえども、立場が異なれば常に味方になってくれるとは限りません。
妊娠・子育て中の女医がいると他の医師への負担が増大することから、未婚の女医から嫌味を言われたり非協力的な態度を取られたりすることもあります。
周囲に迷惑をかけるのは間違いないので、できる範囲できっちり仕事をこなすこと、普段から周囲と良好な関係を保ち感謝の気持ちを伝えることが大事です。また、妊娠・子育てに非協力的な職場では結局続かないことが多いため、早めに転職も考えましょう。
周りの男性医師から、「いつ子供を産むのか」「いつ結婚するのか」といったぶしつけな質問を受けたことはありませんか?そんな時、ムッとしたり、傷ついた女性医師も少なくないと思います。
こうした質問はプライバシーの侵害として禁句であることは一般常識となりつつありますが、男社会の医療界では、女性の気持ちを理解している男性がまだ少なく、出産や結婚に関する質問がプライバシーを侵害しているということに気がついていない人が多いのです。
こうした嫌味や傷つく言葉もさらりと受け流せる力や図太さも男社会の医療界ではある程度必要かもしれません。また、女だから特別扱いされると思わないことや、周囲に愛される人になる努力を怠らないことはどの職場でも同じです。自分が努力をしても状況が変わらないようであれば、転職を考えるべきでしょう。
女性医師であれば、ここであげた例のいずれかは経験したことがあるのではないでしょうか?真面目で頑張ろうとする人ほど、周囲とうまくいかずに病んでしまうこともあります。自分の努力では改善できない職場であれば、転職を考えてみるとよいでしょう。
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |