家庭と仕事の両立で忙しく働くなかで、今とは違う働き方、キャリアを模索している女性医師は少なくありません。ここでは、どのようなキャリアチェンジがあるのか、今からできる準備とは何かといった点についてご紹介します。
親が開業医で自分が後継者である場合を除き、ほとんどの人は初期研修の間に自分の進みたい専門科を決めます。初期研修時にすでに子供がいる人以外は、将来の子育てを念頭に専門科や勤務病院を選択する人は少数です。
しかし、医師7〜10年目の30代半ばまでには医師として将来の方向性がある程度定まるはずです。子育てと両立しながら第一線で活躍できる科と難しい科があるため、どのように子育てと両立するか、その場合にどの点を妥協しなければいけないのかといった現実的な問題について考える機会を早めにもつことが大切です。
職場に女医が少ない場合は、勉強会や学会、同窓会や忘年会、転職支援サイトや医師会などが開催する女医会といった集まりになるべく参加し情報収集を心がけましょう。
では、前に述べた将来の方向性を具体的に挙げてみましょう。まずは、専門性を活かした就職先には以下の3つが挙げられます。
医局に属するか否かや勤務する施設の規模(当直があるかや病棟の有無など)で働き方は変わります。医局に属しながらも育児休暇中に自分で見つけたバイト先で非常勤を続けている女医など、近年は医局のあり方が変わって以前より自由度が高くなりました。
医局に属する利点・欠点は専門科や所属医局の性質によるため、個々で医局所属の利点・欠点を十分に検討する必要があります。
また、クリニック外来で働きたい場合でも、開業するのかしないのかを具体的に考えて、一から開業する場合は開業支援会社に相談し物件探しをしたり現職場を円満退社できるよう周囲にも開業の意思を伝えるといった準備をしましょう。
専門科以外にも、下に挙げるように医師が活躍できる転職先は複数あります。
最も女医のニーズが高いのが、人間ドックなどの検診・健康診断に関わる仕事です。体力的にもハードではないため、70〜80代の現役医師を見かける職場です。
医師不足のため給与面でも待遇がよいところが多く、ほぼ定時に終わりQOLが高いのが特徴です。産業医も同様に労働条件が良いため、専門科の外来業務を継続しながら産業医として活躍している女医もいます。
その他、製薬会社や公衆衛生といった研究関連施設で研究医の道を選ぶ人もいます。その場合でも、臨床医としてのスキルを保つために外来勤務を継続することも可能です。
こうした仕事は公に応募されていないことが多いため、製薬会社の場合は知り合いのMRから情報を集め、実際に働いている人を紹介してもらい話を聞くとよいでしょう。
また、産業医の場合は大企業などの大型案件は実績が重視されることが多いので、転職サイトによく挙がる小さな案件から現場に慣れていき地道に実績を積むことが大切です。
結婚や子育てなどの事情により、女性医師のほうが男性医師よりもキャリアチェンジを考える機会が多く、時期も早いものです。将来の方向性を考える時期やキャリアチェンジの種類を参考に、転職成功に向けて入念に準備を進めていきましょう。
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |