女性医師の転職理由は妊娠・出産や夫の転勤といった物理的な要因以外に、業務内容や人間関係であることも多いものです。しかし、正直に退職したい理由を述べると後々のキャリアに影響を及ぼすことも多いため、無用なトラブルは控えてなるべく穏便に退職するべきです。
ここでは、退職時の行動で注意すべき点をお伝えします。
どの職場でも自分と合わない人や業務内容・施設に対する不満はあり、それが退職の動機になることが多いのは事実です。しかし、同じ科で活躍する限り学会などで顔を合わせる機会は多々あり、次の職場探しにおいても医局の影響がある地域で大手病院への転職は難しくなります。
このように、狭い医療界では医員間のトラブルで辞めると将来的に困るのは自分であり、できる限り別の理由を挙げて周囲との関係性の悪化を防ぐべきです。女医は結婚・不妊治療・介護・子育てなどを退職理由に挙げても不自然ではないため、なるべく穏便に退職できる理由を考えておいた方がよいでしょう。
直前に退職を告げたり突然来なくなるというのは最悪の辞め方であり、絶対にやってはいけないものの、身の回りで経験された方も多いと思います。
身近に起こった例を挙げると、過酷な医療現場や人間関係のストレスに耐えられず精神的に病んで突然連絡が取れなくなり来なくなってしまったケースが数件あり、また、妊娠や妊娠による体調不良を契機に急に退職したケースもありました。
医員が少ない病院では一人抜けると大打撃であり、予定手術が回らないといった事態を引き起こすこともあるため、退職のみならず、結婚や妊娠希望の場合はあらかじめその意思を明確にしておくことをおすすめします。
基本的には前職場の医療情報を持ち出すことは厳禁です。しかし、専門医の資格取得や研究発表など、現職場のみならず前職場の患者情報が必要となる状況は多々あります。医局を離れて退職する場合は、前職場関連のデータの持ち出しおよび使用は十分に気をつけましょう。
また、個人情報の入ったPCやUSBといったポータブルディバイスの消失や盗難で大問題になったケースが何回か身近で見聞きしているので、データの扱い方にも細心の注意が必要です。
今回は、どの医師も必ず経験する退職において注意すべき点についてお伝えしました。
現実的には、妊娠や身内の急変、自身の病など、突然退職せざるをえないケースもありますが、医師として長く活躍できるようにできる限り前職場との良好な関係を保って退職できるよう努力しましょう。
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |