体力的にも時間的にも負担の少ない産業医は、子育て中の女性医師にとって魅力的な仕事の一つです。ここでは、いままで臨床医として働いていた医師が産業医になる方法や、産業医の仕事内容、仕事の見つけ方についてお伝えします。
産業医科大学出身者や労働衛生に関わる職についていた人以外でも医師免許をもっていれば産業医になることは可能です。主な方法として以下が挙げられます。
研修を受けて50単位取得する必要がありますが、1日規模で行われる産業医研修会は1回の単位数が少ないため、複数会場に赴く必要があり取得に時間がかかります。
そのため、産休・育休や有給などでまとまった休みを取れる人は、2番目に挙げた産業医科大学を始め大学医師会が提供する研修コースを受講し6日間で一気に50単位取得できる方法のほうがおすすめです。
産業医の仕事は、企業の労働環境と作業条件を見直し、適切にアドバイスすることにより職場環境を改善して労働者の健康を守ることです。
産業医学の基本的な知識は大学で学ぶことが必須とされていますが、大学を出て初期研修を終え、臨床で活躍していた医師にとって産業医学は実臨床とは畑の違う分野となります。
労働者の健康維持においては、生理的な問題から心理学的問題まで様々であり、特にうつ病といった精神的な病に対してのサポート力も重要です。
精神科やプライマリケアに携わる医師以外は精神疾患患者に深く関わることが少なく、診療を避ける医師も多いので、自分がじっくり話を聞けるタイプかどうかも産業医の向き不向きに関わります。
就労時間に関しては、定時制でほとんど残業はないため子育て中の女医も就労しやすい労働環境です。
産業医の単位を取得したらスムーズに職が見つかるかといえばそうではありません。大企業など大手は一般応募していないところが多いため、日本医師会や都道府県医師会が発行する情報誌で求職情報を集める必要があります。
その他にも、産業医間で紹介しあう方法も有効ですので、学会や研修会に参加するなど地域で働く産業医と知り合う機会を積極的に持つとよいでしょう。
また、医療支援サイトでも時々案件があがるので、いくつかサイト登録をして、小口案件から実績を積み、大型案件を紹介してもらうといった方法もあります。
中には産業医資格がなくても可としている企業もありますが、その場合、働く中で取得をめざすこととなります。
今回は、女性医師が多く活躍する産業医学の分野についてお伝えしました。上に述べたように、産業医になるのは決して難しくありませんが、実臨床とは全く仕事内容が異なるため向き不向きはあります。
興味のある方は手始めに1日講習に参加してみたり、身近に活躍する産業医の話を聞いてみたりするとよいでしょう。
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めぐみ マイナー外科7年目。5年目の海外留学時に妊娠・出産。産後6週目より仕事に復帰し、育児と仕事の両立の難しさに直面しつつ奮闘中。経験を生かし、内科・救急・健診業務なども行なっています。 |