看護師として働いていると昇給率が低い、役職が少なくキャリアアップが難しい職種であると実感します。しかし、役職や認定・専門看護師の資格を取ることだけがキャリアアップではありません。ここでは4年目に考えたいキャリアプランをご紹介していきます。
一般企業などでは3年働けばある程度一人前になるため、「とりあえず3年」という謳い文句があります。しかし、看護師にとっても同じことがいえるのでしょうか。
看護師の場合は、卒業すると総合病院などに勤めることが多いですが、3年間順調に病棟で勤めれば、基礎的な知識やスキルは身につきます。さらに、後輩指導(プリセプター)やリーダー業務などの仕事もするようになり、とりあえず一人前という形になります。
ですが、手術室は診療科目・術式によって難易度が異なるだけでなく、外回りや器械出しの役割も違うため、本当の意味で一人前と呼べるようになるまでには5年はかかるとされています。また、精神科や救急外来などの特殊な診療科、点滴は研修医が行うことが多い大学病院など、特色の違いによって一人前になれる期間は少し違うようです。
「医療労働 臨時増刊号」では、勤続年数「5年未満」が約4割と一番多く、看護師として一人前になる3年を過ぎてから、転職していることが推測されます。しかし、この時期に何もせず、ただ日々の業務を淡々とこなしていると、後で苦労する可能性もあります。
というのは、現在は看護師不足ではありますが、看護大学が急激に増加傾向にあり、今後看護師の数は増えるとされているからです。そのため、将来的に看護師が余ってしまう可能性があり、より専門性が必要とされてくるのです。そうした時代でも生き残れるよう、今後のキャリアについては早いうちから考えておいた方がいいでしょう。
今後、看護師としての自分のあり方を考える必要があることが分かりましたが、なぜ4年目なのかということがポイントです。それは、3年目までは目の前の業務で手一杯で余裕がないことが多いです。しかし、一人前になり、仕事のことを考える余裕ができる3年目の終わりには、同時に看護研究や後輩指導などで看護観について見つめ直す時期でもあります。
また、キャリアといっても方法はさまざまです。一般的に思いつくのは、認定・専門看護師を取ることや、よりスキルアップを求めての転職ですが、キャリアはそれだけではありません。病院だけではなく、今までの経験を生かせる場所(老人福祉施設、クリニック、訪問看護、学校、企業など)への転職で、自分のやりたい看護を見つけていく人もいます。
看護師4年目は、今後の自分のキャリアについて考える最初の時期であることが分かりました。大切なのは「自分が10年後20年後、どんな看護師として生きたいか」という理想像を明確にすることです。
その上で、「そのためには何をする必要があるのか」まで具体的に考えられると、より実現に向けた一歩になるでしょう。さて、あなたはどんなキャリアを歩みたいですか?
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |