さまざまな職種で活用されるようになったコーチングという手法ですが、実は看護師が働く医療現場でも、とても役立つ内容です。患者へのセルフケアを促す指導や、看護師だけでなく、医師やコメディカルスタッフとのコミュニケーションスキル、人間関係の構築にも一役買っているのです。
今回はその中でも、後輩指導にあたる際に気を付けたいコーチング技術についてご紹介していきます。
そもそもコーチングについて、具体的にはどのようなことをするのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。
コーチングとは、
- コーチと個人(チームなど)が目標を実現していくためのパートナーシップ、コミュニケーション
- より効果的に結果が出せるよう自主性を引き出すもの
以上のことが一般的にいわれているコーチングです。コーチングを実践することで、生産性が向上し、仕事にやりがいを見い出せるようになるなどの結果が期待されています。
看護師に必要なコーチングのステップには「問いかける」「耳を傾ける」「共感する」の3つがあると考えられています。
後輩指導をする場面で、どうしてもやってしまいがちなのが、一方的に注意することや、「こうしなさい」とするべきことだけを伝えて従わせることです。このように相手の考えや行動を制限してしまう指導は避けなければいけません。
話を聞くにしても、「今日の◯○の処置はどうだった?」というピンポイントの質問ではなく、「今日は何のことについて話をしようか?」と相手に自分の行動を考えさせ、問題点に気付かせるような声掛けが必要になります。
また、傾聴の姿勢も大切です。「相手の目をきちんと見て話をする」など、コミュニケーションをとる上で基本的なことではありますが、コーチングにおいても重要になってきます。
相手に話を聴いてもらっていることが分かると、後輩はより本音にちかい部分を相談できるきっかけになります。そして、最後に共感する姿勢を示すことで、お互いの信頼性が増します。
後輩指導の場面でコーチングが役立つことがわかりましたが、患者への生活指導・クレーム対応、看護師同士・他職種との関係づくりなど、普段の業務を円滑にするためにも活用することができます。加えて自分自身と向き合い自分が抱える問題点について気づき、解決策を考えるセルフコーチングに生かすことも。
コーチング技術は後輩指導のためのリーダー研修などで盛り込まれていることが多いですが、将来の転職やキャリアアップなどの自己実現のために、勉強する人も多くいるようです。
今回はコーチング技術の基本的な部分に触れましたが、知識としてあっても実践できなければ意味がありません。日々の業務の中でも少しずつ行動することで「後輩の考えていることが分からない」「なんできちんと伝わらないの」などのコミュニケーション上での悩みは解決できるのではないでしょうか。
自分自身と向き合うセルフコーチングにも生かすことができるため、今後のキャリアアップのためにもぜひ身につけていきたい技術ですね。
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |