看護師の特定行為研修制度がスタートし、実際に研修を終えた看護師が出てきているなかで、医師と看護師の指示連携については課題も多いようです。
実際にどのような問題が起こり得るのでしょうか。その現状をご紹介していきたいと思います。
2015年10月より「特定行為に係る看護師の研修制度」がスタートしました。特定行為とは38項目からなる診療の補助に関する項目であり、それぞれの項目の研修を修了することで、特定行為を医師の手順書のもと実施することができるようになるものです。
特に、在宅医療の現場において、医師の判断を待たずに「手順書」により、一部の診療の補助がスムーズに行えるようになる看護師を育成することが目的でもあります。
しかし、2025年までに10万人の育成を目標にしていますが、2016年3月末までの研修修了者は583人で、就業場所のほとんどが病院であるという結果も出ており、まだまだ普及するには道のりが遠いようです。
実際に特定行為研修制度を修了した看護師はどのように動けるようになるのでしょうか。看護師が特定行為を行っている病院の手順書を例に紹介していきます。
このような手順書は病院によって差があるようですが、「行える病状の範囲」「確認事項」などがかなり細かく記載されているため、チェックリストのように指示を確認することができます。
特定行為に関するものでは「責任の不明瞭さ」や「医師と看護師との連携」などの課題があげられています。
なかでも、特定行為に対して賛成でない医師や看護師もいるため、まずは所属する病院の医師や看護師へ、特定行為の役割を理解してもらうなどの取り組みが必要だということです。
また、特定行為研修修了後のアンケートでは、治療やケアの計画について医師と話し合うこと、医師の役割や専門性を理解することについての必要性を実感するようになったという結果もあります。
そのため、普段から医師との関わりを密にして連携をとっておくことが大切です。
まだスタートしたばかりの特定行為に関しては、課題も多くあります。
今後は、病院内だけではなく、在宅医療やさまざまな場所で医療を支えるために、特定行為の周知と理解、看護師と医師との連携は最重要課題であると感じます。
![]() |
ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |