インシデントを起こしたくない、インシデントが怖いと思うのは新人看護師なら誰でも通る道ではないでしょうか。 新人看護師がやってしまいがちなインシデントとはどのようなものがあるのか、事前にできる対策について紹介していきます。
看護師全般に多いインシデントは「療養上の世話」「ドレーン ・ チューブ」「薬剤」の順であげられています。
まず、「療養上の世話」と一言にいっても身体の清拭、食事、排泄、移動介助等が含まれており、なかでも移動介助時の転倒・転落などがインシデントとして多いです。
二番目の「ドレーン・チューブ」に関しては、術後ドレーン、治療ドレーン類から点滴類などのチューブがあります。病院で入院する患者さんは点滴を挿入している患者さんも多いので不注意で抜けてしまったり、認知症患者さんの自己抜去などがあったりとさまざまです。
三番目の「薬剤」に関しては、患者間違いや薬剤間違い、投与量間違いなどが発生件数として多くあがっています。
看護師全般と新人看護師の場合では、インシデントの傾向が少し違うようです。
新人看護師に多いインシデントとして、「療養上の世話」「薬剤」「ドレーン・チューブ」の順であげられ、看護師全般に比べて「薬剤」に関する報告が多いことがわかります。
特に10月~1月にかけてインシデント発生が多くなる傾向があり、ある程度できる業務が増えますが、この時期はフォローが外れて一人立ちをして動くようになった時期と重なるのです。
新人に多い「薬剤」に関するインシデント要因としては「知識不足(経験不足)」「基本的な手順の不遵守」「思い込みによる安易な実施」などがあります。薬剤の使用上の注意点を知らなかった、確認行動を省略してしまった、わからないことを都合よく解釈してしまったなどが要因です。
特に「薬剤」に関することは知識不足が要因でのインシデントが多いため、最低限の事前学習は必要です。また、初めてのこと、曖昧なもの、やり方に自信のないものは絶対に一人で行わないようにしましょう。
ちょっとくらい平気という気持ちが命取りになることもあります。さらに、先輩や他のスタッフのインシデント報告は把握しておくことで、事前に回避できることもあります。
病棟や診療科によってインシデントには傾向があるので、過去のインシデントをまとめたものを参考にしてみるといいでしょう。
新人のうちは間違えることもあります。しかし、医療の現場では間違いが許されない場面が多いでしょう。間違いをしないのではなく、いかに回避できるようになるか、どのように対策がとれるかが重要であり、対策次第でミスも減ってくるものですので、事前にしっかり対策を立てていきましょう。
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |