「思い立ったが吉日」とか「善は急げ」などといいますが、こと転職にいたっては、時期を誤るとハズレを引いてしまうことがあります。看護師が転職するのにベストな時期を考えてみました。
希望に合った求人を見つける近道は、当然ですが求人が多い時期に探すことです。そうなると最適なのは、やはりボーナスが出た直後です。この時期は退職者が出やすいため、求人が増えてくるのです。
転職は応募から書類選考、面接そして採用決定と、通常2カ月から3カ月かかります。ですから、冬のボーナスが出た後の1月から転職活動を開始し、4月からの入職を狙うのがベストなタイミングです。施設側もボーナス退職者の補充に加えて、新年度からの人員を確保するため、なんとしても人手が欲しいのです。転職する人も新年度で心機一転スタートしやすく、施設側の指導体制も他の時期より整っていることが多いです。
同様に、夏のボーナス支給後の6月から7月も求人が増える時期です。このタイミングでの転職活動は10月からの入職を目指します。ボーナス退職者の補充と、秋の人事異動でスタッフ入れ替えの節目にあたるため、転職者もスタートしやすい時期と言えます。
ただ、求人が少ない時期というのは逆にいえば競争も少ないので、希望の求人があればチャレンジしてもいいでしょう。
入職にあまりよくない時期は、5月、8月、12月です。5月は、4月入職者が慣れてきた頃で、ゴールデンウィークを挟むこともあり、入職者への支援体制が薄く、慣れるまでに時間がかかることがあります。同様に、8月は夏休みで人手不足、12月も年末で多忙なので、中途採用者へのフォローや研修体制が手薄になりがちです。
新人看護師の場合、3年程度経験を積むと、一通りの業務はできるようになっています。今の職場にマンネリを覚え、もうワンステップ高いところに行きたいなど、希望があれば転職を考えてもよい時期です。
5年程度経験のある人も転職に向いています。一通りの知識やスキルがある即戦力とみなされ、年齢も20代なので考え方が柔軟で新しいやり方にも順応できます。さらに、長期勤務ができると期待されて、よい求人に巡り会える可能性が高いのです。
看護師経験10年ぐらいの人は、経験も豊富で十分に仕事を任せられる即戦力、体力的にも問題なく、管理職候補と期待される人材です。ただ女性の場合は、結婚、出産・子育ての時期に当たる人も多いので、夜勤のない職場に転職という考え方もあります。
仕事熱心でキャリアアップしたい人は、専門看護師・認定看護師・認定看護管理者など、資格を取るために、資格取得者の多い施設や支援体制が整っている職場に移るのも一案です。
経験年数や年齢とは別に、転職が必要になるタイミングがあります。例えば、職場の人間関係や待遇、診療方針に不満があるとき。あるいは、業務にマンネリを感じてきたときなどは、環境を変える必要があるかもしれません。
結婚、出産、育児、介護などライフイベントによって、どうしても今の職場を続けることができないというケースもあります。そうした人は、正社員からパートに変わったり、夜勤のない職場に移ったり、自宅に近い施設を選ぶなど、自分と家族の都合に合わせて転職を考えましょう。
40代・50代以上になると、自分の生活パターンや興味によって働き方にばらつきが出てきます。今の職場が体力的にきつい人はクリニックなどへの転職を、主導的に看護したい場合は訪問看護を、無理なく働きたい場合は介護施設や老健など、自分に合った場所を検討することも大事です。
1年の中で求人が増える時期に転職活動を始めると、よい求人に巡り会える可能性が高くなります。ただし競争も激しいので、求人の少ない時期もアンテナを張り巡らせ、よい求人があればチャレンジしてみましょう。転職に最適なタイミングは、個人個人で異なります。ライフイベントやキャリアプランに合わせて、ベストな時期を選びましょう。