看護師の資格があればどこでもやっていける時代は終わるかもしれません。看護大学の創設ラッシュで、今後看護師の数は増え続け、就職や転職も厳しい状況が予想されます。しかし、転職するにあたっては有利な条件がいくつかあるので、転職事情とともにご紹介したいと思います。
7:1の看護配置がなされたころは看護師不足に拍車がかかり、どこの病院も看護師獲得に必死でした。しかし、2018年の診療報酬改定で、7:1看護配置基準が厳しくなり、今後減る方向になると、看護師が余ることが予想されます。また、看護大学の創設ラッシュで、今後看護師の数は増えてくることも含めると、いままでのように資格があればどこでも働けるという安易な転職はリスクを伴うかもしれません。
また、大学病院の新卒就職も西日本側では需要過多となり、就職のために東日本側へ移ってくる学生まで出てきています。これが転職となると、さらに大学病院や総合病院への採用募集枠はどんどん減ってくることが考えられます。看護師が余ってしまったところでは最悪の場合、リストラの対象とされる可能性まであるのです。いままでの手に職があれば最強というイメージは一旦考え直さなければいけません。
大学病院や総合病院の場合には、採用募集枠が減ることが予想されますが、それでも東日本側や地方都市の看護師不足には変わりないところもあります。しかし、5年目以下の看護師で転職回数が多くない場合には、どこにおいてもそれほど苦労することはないでしょう。一番需要の高い年代です。
不利になりうるのは、転職回数が多い看護師、5年目以上で結婚をしたばかりで近いうちに子どもを考えている、子育て世代です。いわゆるアラサー世代以上。それは、雇うとなるとお金もかかってくる世代でもあり、すぐに産休育休入る、パートへの切り替えなどの可能性があるからです。雇う側としては、給料が高いベテランよりも、給料が安い若い世代を欲しがるのもこのためです。そのため、このアラサー世代以上の大学病院や総合病院の中途採用枠での転職は、以前よりも厳しいものになります。
病院以外の職場に話になると少し事情が変わります。老人福祉施設や訪問看護ステーションは今後も増えてくるため、若手看護師よりも、中堅以上の経験のある看護師をほしがるところが多い傾向にあります。今後も病院以外の働き方が少しずつ認知されるようになり、働き場所の選択肢は増えてくることでしょう。
また、看護大学卒業の看護師の数が増えるため、専門卒よりも大学卒、認定や専門看護師の資格を取っておくと採用で有利に働く可能性が高まります。看護師の資格だけではなく、付加価値をどのようにつけていくかも重要になるかもしれません。
看護師の転職事情は診療報酬などの法律によっても変動することが予想されるため、日ごろから転職情報のアンテナを張っている方が有利になると考えます。それでも、20代の転職はまだまだ有利な部分が多いようです。看護師の資格があれば大丈夫ではなく、この資格でどのように働くか、自分の強みを生かしつつ、看護師として続けていけるように工夫が必要です。
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |