2019年から開校予定の「専門職大学」をご存知ですか?多様化する日本社会で活躍できる人材を育成するために、設立される大学制度です。今回は看護の専門職大学とは何なのか、看護の専門学校と大学との違いはどのようなものかご紹介していきます。
大学や大学院への進学率が上がるなか、看護師にはより実践的な教育が求められることや学び直しの機会も増えてきています。そのニーズに応えるような形でできたのが看護の専門職大学。看護の他にもファッションやビジネス分野の専門職大学も開校予定です。大学制度のなかに職業実践力応用力が身につくカリキュラムが組まれ、4年の課程を終えて卒業時には学位が取得できます。
専門学校は大学制度とは違い、自由度の高い制度の特性を生かしてそれぞれの専門学校で柔軟に対応しつつ多様性のある実践的な教育をメインとしています。一方、大学では専門教育と学術研究を担う機関として学問的な要素が強い教育がメインとしてあります。そのため、専門職大学は専門学校と大学の双方の強みを生かした新しい教育機関であることは間違いありません。
専門学校と大学の強みを生かした教育機関であることはもちろん、他にも以下のような強みがあります。
産業保健や地域社会と連携した教育課程を行う点で企業内実習を行うことを義務付けられています。
各専門職大学で受け入れ体制は異なりますが、専門学校で学んだ経験を生かして進学することもできます。社会人からの入学の場合には、実務経験を単位に反映することも一部可能です。また、4年制の課程のうち前期終了後に一旦就職してから再入学することもでき、多様な学修スタイルを選ぶことができます。
基礎科目と職業専門科目以外にも展開科目、総合科目という4つの科目で構成されています。展開科目とは他分野の応用的な能力を身につけるカリキュラムとされ、それは各専門大学が特色を出していくことになります。
現在、開校を目指して申請手続きをしている大学はありますが、2019年に開校の認可されたのは高知県にあるリハビリテーション大学の1校のみで、開校に伴う課題はいくつかあるようです。 たとえば、「実習や評価基準の体制が不十分」「ある一定の実務業績がないものが教授として申請されている」「申請書類の不備」など、申請側の問題と認可を出す文科省の問題とか浮き彫りとなり、今後改善が見込まれています。
専門職大学は看護以外の分野で2019年からの開校が決まっていますが、看護系の学部はまだ決まっていません。認可申請中の看護系の学部も2019年以降で出てくるのではないかとされており、今後に注目です。
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ゆみかおる 看護師10年目。小児科、整形外科病棟での経験あり。現在はフリーランスとして、クリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。 |