調剤や服薬指導、薬歴管理など薬剤師の業務は多岐にわたるため、仕事量が多くなり働き方に悩む薬剤師も多くなります。仕事量の悩みは転職により職場環境を変えるだけで解決することもあります。ここでは仕事量を調整することにより働き方を変えたいと考えている人に、転職するにあたって気を付けてほしいポイントをお伝えします。
仕事量の少なさに重点をおきつつ病院内薬局への転職を希望する場合は、院内処方率の低い病院を選びましょう。病院では外来患者さんに加えて入院患者さんへの調剤や病棟活動が必須の業務になります。院内処方率が高いということは、外来患者さんに対しても病院内薬局で調剤をしますから、必然的に薬剤師の仕事量が増えることになります。
院内処方率が高い病院では仕事量が多くなるデメリットがありますが、より多くの症例に接することができますので薬剤師としての経験値を増やせるメリットがあります。
調剤薬局への転職を希望する場合、周辺の調剤薬局の数や近くの医療機関の診療科を考慮して転職先を選びましょう。近隣に複数の調剤薬局があれば患者さんは分散しますから、取り扱う処方箋の枚数は抑えられ、仕事量も少なくなります。
ただし、周辺にある医療機関の診療科によっては、処方の難易度が上がり仕事量が増えることもあります。例えば、小児科の門前薬局の場合、持ち込まれる多くの処方箋が小児に対する処方です。患児の月齢や年齢によって医師が処方量を微妙に調整しているため、倍散や希釈、錠剤の粉砕など煩雑な調剤技術を要する処方が多くなります。調剤が複雑なので仕事量が増えるデメリットがありますが、小児に対する調剤スキルがアップするメリットもあります。
ドラッグストアへの転職を希望する場合、店舗の営業時間や役割を把握する必要があります。10時から20時と一般的な営業時間を設定する店舗もあれば最近は24時間営業のドラッグストアも増えています。薬剤師の勤務時間は、店舗の営業時間に比例しますから、店舗のホームページで営業時間を確認をしておくのがいいでしょう。
また、店舗管理を任されるのか一般薬剤師として勤務するのかも把握したいポイントです。一般薬剤師であれば、仕事の範囲が決まっていますので仕事量を抑えることができます。一方、店舗管理を行う場合、自分の仕事だけでなく従業員や商品の管理など店舗全体の管理もしなくてはなりませんので、一般薬剤師と比べると仕事量が増えることになります。
仕事量で転職先を選ぶ場合、病院の規模の大小や院内処方率の状況、調剤薬局の近隣の調剤薬局数や周辺医療機関の診療科、ドラッグストアの営業時間や店舗での役割など、まずは数字や文字で表されるデータからいくつか候補を挙げます。どの転職先にしてもそれぞれスキルアップが可能ですから、自分が望むキャリアを明確にして、候補の中から最も理想に近い転職先を選びましょう。
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宮本 知明 都内の総合病院で薬剤師として勤務。医療現場の薬の現状に疑問を感じ、自分の体と心の不調の経験から、個人を焦点に当てた医療に興味を持つ。ホリスティック医学・マインドフルネスと出会い「体・心・魂」の三位一体の健康から生き方まで発信し研究している。 |