薬剤師の仕事は1人では行うことができないものが多いです。また、患者さんが待っているということもあり、ゆっくりと仕事をすることが許されません。
効率よく仕事をしながら患者さんに服薬指導をするために、薬剤師が覚えておきたいポイントをお伝えいたします。
薬が患者さんの手元に届くまでに一番時間がかかるのが調剤から監査までの時間です。薬を取り揃えて出すだけだと思われてしまいがちなのですが、最低でも薬剤師2人体制で処方の誤りがないか確認しながら取り揃え、薬歴を見ながら監査をする必要があります。
この間には最低でも2人の薬剤師が1枚の処方箋に関わることになります。多くの処方を扱っている調剤薬局ほど薬の種類が増えます。数量過誤の防止やより効率よく調剤を行うために、予め薬局内で扱っている薬の1シート内の錠数や包数を把握しておきましょう。
錠数や包数を把握しておくことで、処方箋を見たときに素早くシート枚数に換算することができるので、調剤の迅速化、調剤過誤防止につなげることができます。
見た目が似ている薬を近くの調剤棚に配置すると、勘違いや思い込みによる調剤過誤を誘発する原因になることがあります。ときには色だけで判断して調剤してしまい、効能効果がまったく違う薬を調剤してしまう可能性があります。
監査の薬剤師がミスを防ぐことができず、患者さんから連絡で過誤が発覚することもあります。シートの色、薬の色、包装の色、置いてある場所を含め最善な場所に設置をして調剤過誤の防止を徹底していくことが大切です。
頓服で処方されるような薬や短期間の使用に限るような薬の場合、シートを切って細かいバラの錠剤・カプセル・粉薬を出すことがあります。本来であれば調剤後に監査が確認を行ない調剤棚に残さない工夫をするのが適切です。
しかし、監査する薬剤師の手間を増やすことや患者さんに渡した際の薬の数が足りないなどのトラブルになる可能性も少なくありません。
頓服薬や10錠未満で処方されることが多い薬は、あらかじめ1錠分包を予製しておく、ヒートシール錠はできるだけ大きなかたまりとなるよう切り出し方に配慮するなど、バラを作らないための調剤の工夫をしましょう。
薬剤師の業務は、粉薬を計り取る、水剤を作る、軟膏を混ぜる、粉になってないものを粉砕するなど、薬剤師同士の連携が大切になります。
1束の数を把握する、配置を工夫する、バラを作らない工夫を行なうなど、今回ご紹介したポイントを参考にして効率よく調剤を進めていきましょう。
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宮本 知明 都内の総合病院で薬剤師として勤務。医療現場の薬の現状に疑問を感じ、自分の体と心の不調の経験から、個人を焦点に当てた医療に興味を持つ。ホリスティック医学・マインドフルネスと出会い「体・心・魂」の三位一体の健康から生き方まで発信し研究している。 |