人と話すとき緊張してしまう方、わかりやすい説明をしようとして頑張り過ぎてしまう方、服薬指導は難しいですよね。しかし薬剤師として働くのであれば服薬指導は避けては通れない道。
今回は患者さんとお話しするのが苦手な方の気持ちを少しラクにするコツを紹介します。
何事も基本から応用に進みます。服薬指導も同じです。ただ、服薬指導がほかの多くのことと違うのは、基本を自分で作れるということ。薬剤師の数だけ違った服薬指導があって良いのです。
はじめに説明する項目と順番を決めておき、これがすぐに出てくる程度に覚えます。ここでのコツは、絶対に外してはいけない項目だけに絞ること。
過去に臨床腫瘍学会で発表された、医療情報の開示に関するがん患者の好みを調査した研究では、患者さんが求めるコミュニケーションとして、「患者の質問に答える」が99.8%で、「わかりやすく説明する」の98.0%を抑えて1位という結果が得られています。
わかりやすく説明しようと無理に焦るよりも、基本事項だけ説明して、あとは患者さんからの質問を促すようにするほうが満足度も高いということですね。
服薬指導のテンプレートを作る上でのコツは、身近にお手本を見つけることです。百聞は一見にしかずといいますが、服薬指導の上手な人が身近にいれば、下手に本を読むよりよっぽど勉強になります。
そして、その人の説明はなぜ上手に感じるのかを分析し、基本テンプレートに盛り込みましょう。もし身近にお手本を見つけられなくても、自分の処方せんをほかの薬局で服薬指導してもらうと参考になります。
化粧品カウンターの美容部員さんやアパレルショップの店員さんなど別の職種の接客スキルを見ることでもヒントをもらえますよ。服薬指導のテンプレートは少しずつ修正していけば良いので、はじめから完璧を目指さず気を楽にしていきましょう。
皆さんも経験があるかと思いますが、自分の知識に自信が無いときははっきりとしたことが言えず、声も小さくなってしまいますよね。
逆に、自信があれば余裕が生まれ、落ち着いて対応できます。とはいえ、知識のともなわない自信は、患者さんに不信感を抱かせてしまいますので、少しずつ勉強しながら自信もつけていきましょう。
1日に1つずつでも知識は確実にアップします。勉強する内容は最新の情報があればもちろん素晴らしいですが、学生時代の教科書をパラパラとめくって見直すだけでもOK。忘れていたことや当時気付けなかったことがたくさんありますよ。
服薬指導、うまくいかないと落ち込みますよね。しかし、服薬指導は薬剤師と患者という関係ではあるものの、人間同士のコミュニケーションの一つに過ぎません。
ですからそれほど緊張しなくても大丈夫。難しく考え過ぎるとかえって長く、一方的になってしまいます。完璧を目指さなくて良いと思うと気が楽になりませんか。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |