現場で働く薬剤師として最もやってはいけないミスが調剤エラー。普段から細心の注意を払っているけれども、どんなに気を付けていても防げない、なくならない。しかも仕事量が多くなれば多くなるほど、その確率は高くなる。
この記事では、薬剤師として最も怖い調剤エラーについて他の薬剤師はどのように対応しているかについてお伝えします。
調剤エラーが発生する原因はさまざまですが、根本の原因の1つとして「調剤件数が薬局の仕事許容量を超えている」という環境があります。
薬局の面積や薬剤師数などハード的な要素と、在籍する薬剤師の経験年数やその日に休んだ薬剤師のフォローなどオペレーション的な要素により薬局の仕事許容量が決まります。これを超えて処方箋が持ち込まれると調剤エラーが発生する確率がグッと高くなります。
また、「たぶん~ではないか。」「誰かがやっていてくれるはず。」など、自分の都合の良い思い込みや勘違いにより確認が不足したり、手間を惜しんでしまったりするなど、ちょっとしたミスが重なり調剤エラーという大きな事故につながることもあります。
大前提として「人間はミスをする」と考えましょう。どんなに気を付けていても、どんなに注意深くしていても薬剤師が人間である以上、ミスは必ず起こります。
この大前提の上で「では、起こったミスが調剤エラーにならないためにはどうすれば良いのか?」と考えます。薬局内で発生する調剤エラーについて情報を収集、分析して、次に起こらないようにするために何が必要なのかを考える必要があります。
調剤ミスが起こった時はミスそのものに注目し、ミスを起こした人は置いておきます。そのミスが起こったことはその薬局に潜在的に原因があったのであり、誰もがミスをしてしまう状況があるのです。
ミスをした人を責めたり教育する前に、まずは薬局の中の問題点を洗い出してみましょう。
例えば、調剤棚の薬の順番は名前順ではなく、薬効別に配置します。仮にミスが起こっても薬効の似ている薬であれば患者さんの健康被害を最小限に食い止めることができます。
また、調剤エラーに関する情報共有も有効です。発生した調剤エラーについてレポートにまとめ、どのような状況でエラーが発生するのかを薬剤師同士で共有します。
情報を共有することにより同じシチュエーションになった時に自分も気を付けようと無意識のうちに警戒できるようになります。
調剤エラーは患者さんや処方医からの信頼や信用を失うだけでなく、最悪の場合、患者さんの健康被害を誘発し最悪、法的措置が執られるなど、薬局や薬剤師としての失うものは計り知れません。
「人間はミスをする」という大前提にもう一度立ち返り、自分の環境の中に潜む危険の種を未然に見つけ調剤エラーが発生しない環境とシステムを再構築しましょう。
![]() |
さゆみ 薬剤師ライター。病院での薬剤師としての勤務を経験後、現在は、管理部門で医薬品や化粧品、サプリメントなどヘルスケア全般に関する業務に従事。現場と管理部門での両方の業務で得た知識をもとに、健康や美容に関するライターとしても活動中。 |