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まりもさん(27歳/千葉県/薬剤師歴4年) |
薬剤師としてスキルを高めていきたい、という気持ちはあったものの、大学の学費を払うために結構な金額の奨学金を借りていました。奨学金を毎月返すとなると、病院や調剤薬局の給料では少し生活に余裕がなくなってしまいます。
また、大学5年の時の実習を経験し、処方せん通りに薬を患者さんに渡す日々の繰り返しの中で薬剤師の存在意義について考えるようになりました。
OTC専門のドラッグストアなら、自分が患者さんの相談に乗り、自分で薬を選ぶことができます。自分で考えて薬を選んであげたい、という気持ちもありドラッグストアを選びました。
ドラッグストアで働き始めてすぐに思ったのはお客様からよく「ありがとう。」と言われるな、ということです。体調が悪くて困っているお客様のお話を聞き、こういう薬がありますよと紹介します。その時に「親切にありがとうね。」と言われると、ここで働いていて良かったなと思います。
また後日来店されたお客様から「あの薬良く効いたよ、おかげで良くなりました。」と言ってくださることもあります。ありがとうの言葉の力は凄いんです。この一言で疲れも吹き飛びますし、もっと頑張ろうという気持ちになれます。
OTC専門で働いていると仕事は薬のことばかりでなく売り場の管理などにも及びます。私は医薬品の売り場を担当していました。このカテゴリは売り上げが前年と比べると悪い、じゃあどうしたら良いのか、ということを考え売価を見直したり売り場を変えたりします。この成果が数字で出るととても嬉しいものです。
ドラッグストアは品だしなども行います。私の働いていた店舗は多層型の店舗なので階段の上り下りがとても激しい店です。買いカゴに品だしをする商品をパンパンにつめたものを両手に持って階段をかけ下りなければなりません。
物凄く重い物を5階の倉庫まで持ってあがることも多々あります。もともと膝が悪いこともあり、このような労働環境の中で働くのはとても大変でした。
また、繁忙店にいたこともあり、勤務時間内に仕事が終わらないことが度々ありました。それでもやらなければならないので、勤怠を切ったあとに何時間も居残りして仕事を終わらせていました。1日のほとんどが仕事で終わってしまうのが物凄く苦痛でした。
自分の時間が取れない、サービス残業が多いことに不満が募って転職したいとはかなり早い段階で思っていました。そういった不満がたまっていっている毎日の中で、お付き合いしている彼と同棲することが決まりました。
一緒に住む家が今の勤務先からは少し遠いこともあり、これを機に転職することに決めました。この時に調剤薬局も視野に入れましたが、やはりドラッグストアで活躍したいと思い、転職先もドラッグストアにしました。
退職をする約半年前から転職活動を始めました。最初は求人サイトを見ていましたが、いまいち惹かれる求人が見つかりませんでした。そこで薬剤師専門の転職サイトに登録をしました。
登録をするとすぐに電話がかかってきて、どういう条件で求人を探しているのかを15分ほどかけて詳しく聞かれました。希望の勤務地、年収、自宅からの距離、通勤時間などについて聞かれ、希望の条件に合う求人が見つかると担当の方がすぐにメールで知らせてくれます。
最初の何ヶ月かは特に良い求人が見つかることもなく、時折担当の方と現状について話す程度でしたが、ある時、自宅からも近く給料も今より少し高い求人を見つけました。ここなら仕事とプライベートのオンオフをきっちり分けられると思い、応募することに決めました。
面接を受けたのはこの一社のみです。担当コンサルタントの方が面接に同行される場合もあるようですが、私は何だか恥ずかしいので一人で向かいました。結果、こちらで採用されたので転職活動はこれで終わりました。退職する1ヶ月前くらいには転職先を見つけることができました。
転職前の通勤時間が片道1時間以上だったのに対し、転職後は30分ほどにまで短縮されました。また、サービス残業もなく、働いた分のお金はしっかりと支給されます。お金にならない労働はしたくない、とひたすら思っていた私にはこれだけでも転職した甲斐があると思えました。
また、転職先は一層型の店舗なので、重い物を持って何度も階段を上り下りする必要もありません。膝を悪くし手術をするしかない所までいっていましたが、おかげで痛みがかなりマシになりました。
これらのことを踏まえると転職の目的は果たされたと言えます。ドラッグストアから別のドラッグストアへの転職だったのでPB商品以外のOTC医薬品の知識は概ね持ち合わせていました。そのため、売り場に馴染むまでの時間も少なく済みました。
また、別のドラッグストアに転職したことによって、これまで触れることのなかった別会社の商品にも触れることができ、かなり新鮮な気持ちで仕事を始めることができました。
薬剤師として働いてはいますが、私は元はかなり文系科目が好きな人間です。本を読んだり漢字の勉強をしたり、文章を書いたりするのが好きなのです。心の奥にこの好きなことを仕事にしたいという気持ちがずっとあります。
しかし、これらを仕事にして生活をしていくには厳しい面もあります。薬剤師の資格を持っているからといって、必ず薬剤師として働かないといけない訳じゃない、と私は思っています。
なので少しずつライターなどのお仕事に挑戦していきたいと思っています。また、漢字の勉強が好きなので転職によって得ることが出来た自分の時間を、勉強時間にあてて資格を取得したいとも考えています。いつかは、薬剤師という仕事だけに囚われない自由な生き方をしていきたいです。
まりもさん、どうも有難うございました!