2016年4月より新たに始まった、かかりつけ薬剤師制度。今後の日本の調剤薬局の在り方を大きく変える制度として注目されています。
かかりつけ薬剤師の届け出の現状と、今後かかりつけ薬剤師制度が当たり前の時代になるのかについて考えてみましょう。
かかりつけ薬剤師とは、患者さんの薬や健康状態の管理をかかりつけ薬剤師が継続的に行う制度です。かかりつけ薬剤師になるには、国が定める一定の条件を満たし、届け出を行う必要があります。
日本保険薬局協会が2017年2月に公表したアンケート調査 によると、かかりつけ薬剤師の届け出状況は全体の6割程度という結果になりました。
同アンケートでかかりつけ薬剤師の届け出ができない理由として最も多かった回答が、かかりつけ薬剤師になる条件のひとつである「薬剤師として3年以上の薬局勤務経験」を満たすことができないというものでした。
3年以上を満たせない薬剤師として考えられるのは、「新卒の薬剤師」あるいは「他の業界から転職した薬剤師」などですよね。現時点では条件を満たせなくてもあと数年したらかかりつけ薬剤師として届け出することができる、つまりかかりつけ薬剤師の数は増えていくことが予想されます。
かかりつけ薬剤師になる条件には、3年以上の勤務経験以外にも「当該保険薬局での半年以上の在籍」や「週32時間以上の勤務」といった期間や時間の縛りがあります。
例えば子育てしながら時短で働いている女性薬剤師の場合、他の条件を満たしていたとしても「週32時間以上の勤務」を満たすことができず、かかりつけ薬剤師の届け出ができません。女性が多く働く調剤薬局ではこのようなケースは珍しいことではありません。
日本保険薬局協会では2017年6月に「2018年度診療報酬改定等に関する要望書」を発表し、「かかりつけ薬剤師の条件が女性の働き方を制約している」として制度の見直しを求めています。
仮に2018年度の診療報酬改定で今挙げたような期間や時間の縛りによる条件が廃止、あるいは見直された場合、かかりつけ薬剤師の数は増えることが予想されます。
今は「かかりつけ薬剤師にならなくてもいい」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご紹介したように今後かかりつけ薬剤師の数は増えていくかもしれません。そのため、これからはかかりつけ薬剤師であることが当たり前のようになる日がくる可能性もあります。
今のうちからかかりつけ薬剤師を目指して、できることをはじめてみましょう。
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やや オランダ在住のフリーライターです。調剤薬局に勤務したのち、化粧品処方開発、新製品のプランナーやマーケティングなどに携わりました。 薬剤師の免許を所有しており、知見をいかして医療・美容、そして海外生活など幅広いジャンルで活躍しています。 |