近年話題のセルフメディケーションですが、薬剤師と相談しながら体調を整えていく漢方薬局に今、注目が集まっています。聞いたことはあってもなかなか転職先としては挙がらない漢方薬局の薬剤師ですが、どのような仕事をしているのでしょうか。メリット、デメリットの観点からみてみましょう。
漢方薬の決定は、医師の治療方針に沿って、時には想像しながら進めていく処方箋調剤とは異なり、薬剤師が患者さんと一緒に考えながら行います。そのためヒアリングだけで1人につき数十分から1時間程度かけることも。
さらに1回の来局で接する時間が長いだけでなく、健康のマネジメント役として長期的にお付き合いする患者さんも増えてきます。活動の方法次第で地域に根ざした薬局となり、長く深い信頼関係を築くこともできるでしょう。
患者さんともっと近い距離感で接し、温かい関係性を目指したいなら漢方薬局はとてもおすすめです。
漢方薬局でのメリットは、薬剤師としての知識量を大きく増やせることにもあります。通常の調剤薬局で漢方薬に触れる機会は稀ですよね。たまたま近くに漢方の好きな処方医がいて、比較的多く処方があるとしてもおそらく同じ処方が多くなりがち。
それもなければ大学で学んだ生薬をかろうじて覚えているだけになってしまいます。薬剤師としてそれはまずい、と考えている人に漢方薬局はおすすめ。漢方に興味がある新人も、現代医学の薬物治療はひと通り身につけたベテランも学べることは多いはずです。
将来のキャリアアップのためや知識欲を満たすために、漢方はとても良い勉強領域です。
やりがいや知識量アップなどたくさんのメリットがあるなかで、デメリットも当然あります。デメリットの1つとしては収入の低さ。他の調剤薬局やドラッグストアなどの薬剤師と比べて、給与は大きく下がってしまう可能性が高いのです。
もし収入増を目的として就職や転職を考えているならあまり適していません。そもそも店舗数も少なく、求人数も少ないため転職もしにくいのが現状。漢方薬局を目指すのであれば、収入面や通勤に心配はないかもう1度考えてみてくださいね。
患者さんとの距離感に満足していますか?通常の服薬指導だけでなく、もっと患者さんと深く関わりたい、という人には漢方薬局はとてもおすすめです。
おそらく収入は下がってしまいますが、やりがいのある仕事ですので転職候補の一つとして漢方薬局も入れてみてはいかがですか?
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |