医師や看護師、介護士や時には栄養士など様々な職種で連携して患者さんの治療にあたるチーム医療。このチームの中で薬剤師はどのような役割を担い、どのようなスキルが求められるのでしょうか?今回はチームの目的と一緒に考えてみます。
医療現場でチーム医療が必要と言われるようになってしばらく経ちます。何か特別なことのように語られることもありますが、チーム医療は本当に「普段の」業務とは異なるものなのでしょうか?
患者さんに対して最も良い治療を考えた時、医師、看護師、介護士などそれぞれの思惑がありますよね。職種ごとの違う着眼点は患者さんのより良いケアのために非常に重要なポイントです。
つまり他職種との協力するチーム医療は治療に欠かせない業務であって、「普段の」業務の単なる延長や発展形。あえて分ける必要はありません。薬剤師としてより良い治療を考えることで、すべきことや求められていることがわかってきますよ。
ドクターヘリや救急隊などをモデルとした映像作品も多く、憧れも大きいはず。近年では日本各地で大きな災害が相次いでいますので、直接関わった人もいるかもしれません。
映像作品の中では医師や看護師が取り上げられることが多いですが、薬剤師ももちろん救急医療の一員として人命救助に携わることができます。災害時に現場へ派遣され活動を行うDMATや院内の集中治療室に薬剤師を設置する施設や団体も増えてきました。
このようなチームでは時間もなく、資料も十分に利用できない場合もありますので、医薬品に対して正確な知識が求められます。大きな責任も抱えることになりますが、やりがいは他の業務と比べ物にならないほどあるでしょう。
チーム医療というとまず、個々の患者さんの治療をするイメージが浮かぶかもしれませんが、決してそれだけではありません。例えば感染予防対策チーム(ICT)は、薬剤耐性菌の発生や院内感染の防止を大きな目的として結成されているチームです。
したがって日々のケアや投薬時など医療行為内の感染防御はもちろん、施設の空調設備や清掃方法など医療環境の整備も担っています。これらの業務内容には学校薬剤師や衛生管理者に近いものがあります。疾患の薬物治療とは違った衛生学的な知識も求められるでしょう。
チーム医療で薬剤師が求められる能力はもちろんチームの目的ごとに異なります。しかし、普段の業務や大学で学んだ知識と全く性質の違うものではありません。
チーム内では薬剤師が1人のことも多いので当然日々の勉強は必要になりますが、興味をもって行えば他職種との繋がりもでき、仕事に幅ができるでしょう。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |