薬剤師による在宅医療への介入もだんだんと拡がっています。みなさんは在宅医療の業務についてどのようなイメージがありますか?今回はこれからの在宅医療でより良い治療を患者さんに提供するために、薬剤師ができることを考えてみましょう。
在宅医療は薬を届ける以外にイメージが湧かないという意見も耳にします。それでは、自身で来局していた患者さんが在宅医療を始めるきっかけはどのようなことなのでしょうか?
例えばがんの進行度から来局に困難が出てきた場合。医師が判断したり、患者さんが希望したりしますがこのような患者さんには配達の他、褥瘡などの確認が必要かもしれません。
他には認知症が進み、1日に何度も来局してしまう場合。薬剤師がご家族と相談して在宅医療を始めることもあります。認知症が問題ですから、服薬カレンダーなどの工夫が必要になるでしょう。
このようにきっかけを考えると、患者さんができないことや求めていることのイメージが湧いてきませんか?
在宅医療では医薬品以外にも様々な物品が必要になります。例えば血圧計や体温計といった医療機器や注射針、口腔ケア用品、介護用オムツなどの消耗品。
一般のお店で購入できるものもありますが、注射針のように廃棄に規制があるものも併せて薬局でまとめて販売したり、引き取ったりするほうが患者さんにとっては楽。薬局は医薬品だけでなく、医療用品全般の物流拠点として機能できるのです。
ここで注目したいのが感染防御の指導が行えること。医療機器や血液、排泄物の衛生的な扱い方を本人や家族に指導することで、様々な感染を予防できますよね。患者さんだけでなく家族の健康を守ることも在宅医療における薬剤師の重要な役割です。
在宅医療といえば他職種連携を思い浮かべる人もいるほど主治医や看護師、介護士などとの協力が欠かせません。協力と言っても職務上の話ですから、同調や共感よりもむしろ個々の意見を持ち、尊重し合うことが重要。
それぞれの持つ専門性から患者さんの生活やケアを評価することで、より良い在宅医療になるのです。したがって薬剤師として薬学的な評価ができる能力が必要でしょう。
もし在宅医療へ介入することが自分に合っていると感じたら、薬剤師としてだけではなくケアマネージャーの資格を取得し、全体のマネジメントに挑戦してみても良いですね。
在宅医療は実際居宅に行ってみないと分からないことも多いです。ただ勘違いすべきではないことは、薬剤師は単なる薬の配達員ではないこと。そうした時代もありましたが現場はどんどん変わっています。
通常通りの服薬指導に加えて、患者さんやその家族にとってどのようなケアが必要なのかを個別に見つけていきましょう。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |