普段行っている服薬指導、なんとなくのれんに腕押しといった感覚がある方もいるのではないでしょうか?全く聞く耳を持ってもらえないのも困りますが、指導中はよく理解した様子なのに全然服薬状況に反映されないと、どうしたら良いか困ってしまいますよね。
伝えた「つもり」にならない服薬指導について考えてみましょう。
エドガー・デールの学習法則というものをご存知でしょうか?アメリカの教育学者エドガーデールが提唱した法則で、受動的に経験したことよりも能動的に行動したことのほうが2週間後でも記憶に残っているというもの。
当然といえば当然のことですが、もう少し細かく見ると、読むだけならば10%程度、聞くだけならば20%、見ながら聞くと50%、言うと70%、言いながら行動すると90%の割合で記憶に残ります。
普段の服薬指導はどうでしょうか?聞かせるだけでは20%になってしまいます。どうすればより記憶に残る服薬指導ができるのでしょうか?
患者さんの記憶に残すためには実際に体験してもらうのが一番ですが、辛い副作用を経験させるといったことはなかなか難しいですよね。
しかし、特殊な使い方をする吸入薬などはデモ用の見本があるのでその場で体験してもらえますし、貼付剤や塗布剤なども患部によってはその場で実際に使用してもらうと良いでしょう。
ただの錠剤であっても、実際に取り出して色や手触りを一緒に確認したり、一回分の薬を自分で用意してもらったりしても聞くだけよりはずっと記憶に残りやすいはず。ちなみに吸入薬のデモ器具はもし製薬会社から配布されていなければぜひ取り寄せてくださいね。
とはいえ、患者さんが急いでいる場合など服薬指導をゆっくり体験してもらえるとは限りません。この場合には、患者さんが家でも理解できるように資料を添付しましょう。
製薬会社や薬剤師会などのような団体では服薬指導をしやすくする様々な資料を作成しています。あらかじめそうした資料を用意し、説明の仕方を考えておくのも服薬指導成功の秘訣。
当然、買い物袋に資料をただ入れるだけではきちんと見てもらえる可能性は下がりますので必ず患者さんの目に入る工夫は必要です。現在はあまり豊富ではありませんが、調剤中の待ち時間に見てもらえる動画コンテンツのようなものがあればなお良いですよね。
一生懸命にしている服薬指導も患者さんが薬の使用時に覚えていなければ意味がありません。言っただけの服薬指導ではなく伝わる服薬指導にしていきたいですよね。
そのためにはさまざまなアイテムもフル活用して、患者さんに体験型の服薬指導を提供しましょう。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |