インターネットやテレビで時折話題に上る「薬剤師飽和」。時短勤務や突然の休暇が予想されるママ薬剤師は会社に敬遠されるのでは?と不安になっていませんか?今回は薬剤師飽和と今後の薬剤師職の発展という視点からママ薬剤師の立場について考えてみましょう。
全国的に新設の薬学部が増えたこともあって、世間ではときどき薬剤師飽和の話題があがります。しかし、本当に薬剤師飽和は起こるのでしょうか?
結論から言えばNO。少なくとも数十年は起こらないでしょう。もちろん皆が第一希望の職に付くことは難しいですが、これは今でもそうですし、他の職種でも当たり前のことです。つまり、薬剤師飽和は地域や職種を限定した場合の話。薬剤師そのものの必要性がなくなることはありません。
例えAIが全国津々浦々満遍なく普及したとしても医療職である薬剤師が不要になるのはずっと先。今若手として薬剤師をしている方であっても、将来薬剤師飽和によって職を失う心配はしなくても良いでしょう。
薬剤師飽和の話題とは別に、こちらもよく話題になるのが薬剤師職の職能の拡大。病棟への常勤や在宅医療への貢献などがわかりやすい例ですね。
飽和してきてしまったから広がらざるを得ない、なんてネガティブな意見もごく一部で見られます。しかし現在の広がりはむしろ「今までやりたくても人手が足りずできなかったこと」が「やっとできる」ようになってきたという感触。
今後、6年制薬学部を卒業した薬剤師が新人から中堅へと成長するとともに、より薬剤師の職能は広がっていくことでしょう。つまりまだまだ薬剤師が担うべき仕事は社会にたくさんあり、薬剤師は必要とされているということです。
前置きが長くなりました。本題の「ママ薬剤師」が薬剤師飽和によって不利になるか、ですがこれもママだからといって不利になるとは考えにくいでしょう。
免許を持つ薬剤師は存在だけでもで大きな力ですから、会社としては育児をしながらも続けて欲しいと考えますし、特にそのママ薬剤師が高いスキルを持っていればほんのわずかな時間であっても勤務して欲しいと考えます。
したがって「ママ」かどうかよりも、どんなスキルや経験があるかが勝負どころ。職能の広がりと同時に、「働き方」もさまざまなスタイルに変化してきていますので、ママ薬剤師にとってうれしい、自宅でお仕事という勤務形態も探しやすくなるかもしれませんよ。
都心の激戦区でキャリアを狙う場合「ママ」が敬遠される可能性はないとは言えませんが、そうでなければ就職先がなくなることはありませんので、薬剤師飽和は心配しなくても良さそうです。広がる薬剤師の職能をじっくりと見ていけば、よりプライベートを充実させながらスキルも磨ける職に出会えますよ。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |