患者さんの命を守るための疑義照会は薬剤師としての職能を発揮する部分でもあり、やりがいを感じる瞬間です。とはいえ、ほんの少しの情報漏れだけれど事務的に疑義紹介しないわけにはいかない、といった残念な処方せんもありますよね。今回は、そんなあるある処方せんについてです。
現代ではパソコンが十分に普及し、カルテも多くの病院で電子化されています。処方せんくらい簡単に出力できそう、と思いきや手書きの処方せん、まだありますよね。
もちろん一昔前に比べれば数は減りましたが、一部の施設では処方せんも手書きのまま。また、在宅医療が盛んな地域では患者さんの居宅で処方せんを書くため手書きが多いこともあります。そんな手書き処方せんで困るのは、殴り書きと略語ですよね。
これまでの経験上これだろうな、と思いつつ確証を得るため疑義照会が必要になることもしばしば。医師が多忙なのは重々承知の上ですが、双方の手間を減らすためもう少しだけ丁寧に書いて欲しいというのは薬剤師の切なる願いでしょう。
医薬品は年齢や代謝機能その他の要因で用法用量が変わってきますし、適用によって使用する量が大きく異なるものがあることは言わずもがな。
そうは言っても、mgのmが抜け落ちてしまっている場合など、ほぼ100%単位を間違えただけの処方せんが時々送られてきます。複数の倍散が存在する散剤などでは、何らかの勘違いや処方意図の汲み取りミスも起きやすいため、疑義照会の案件として手応えがあります。
しかし何をどうしたとしても明らかにタイプミスである場合、少しだけがっかりしてしまいますよね。できれば発行直前に病院の薬剤部で確認してもらえたらと思ってしまう処方せんです。
事務的なミスではありませんが、これまでの処方と内容が変更になっていても患者さんが認識していない場合がありますよね。服薬指導時、「日数がだいぶ延びましたね」と言うと患者さんがキョトンとしてしまうなどなど。
処方日数は次回の診察予定によっても変わるため、「○日分出します」とは言及してしないのかもしれません。しかし用量が変更になっていても全く認識していないという患者さんもいます。
この問題は患者さんの理解力や興味も大きく関わってくるため完全な解決は難しいのですが、もう少し情報提供してくれれば、と感じてしまうケースも確かに存在するのです。
少しだけ残念な処方せん、受け取ったことはありますか?「事務的なミスの確認だけ」ではなかなか気は進みませんが、疑義照会は医薬分業の醍醐味。医師へ適切な処方変更を提案できたときなどは仕事へのやりがいや満足感も感じられます。その瞬間のために今日も頑張って照会しましょう。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |