妊婦さんへの投薬は普段より少しだけ緊張しますよね。明らかに禁忌の薬物以外は自信を持って答えられなかったり、「有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ」を読んで困ったり。日々勉強不足を感じます。そんなとき妊婦さんのために優先的に勉強しておきたい薬効群をまとめてみました。
虎ノ門病院では妊婦さんの不安を解消するため「妊娠と薬相談外来」が開かれています。この外来によせられた相談内容などを調査した結果が2006年に発表されました。データとしては少し古くなってしまいましたが、妊婦さんに対する服薬指導について考える上で重要な情報がたくさん載っています。
特に相談頻度の高い薬剤をまとめた結果をみると、勉強を進めるときにどこから手をつけるべきか非常に参考になります。また、1988年、1997年、2004年と時代の変化とともに相談の多い薬効群も変わってきていることも興味深いですよね。
調査結果を参考にすると、優先的に勉強する薬効群を選ぶポイントの1つに「不安」があるようです。これは薬剤師の不安と、妊婦さん側から考えた不安の両方。2004年に行われた調査では、妊婦からの相談頻度の高い薬効群第1位は精神神経用剤、第2位は催眠鎮静剤、抗不安剤でした。
これらの薬を処方されている患者さんは、何かのきっかけで強い不安を感じたり、必要以上にこだわってしまったりということがあります。薬剤師の自信のない態度が、不安を煽るきっかけとならないようによく勉強する必要がありそうですね。できるだけ具体的な服薬指導のシミュレーションをしておくとより理解が深まりますよ。
「不安」の次に優先的に勉強すべきポイントは「頻度」。当然ですが、一般的に処方される頻度が高い薬は妊婦さんにも処方されやすいため、相談件数も増えますよね。
同じく2004年の調査結果をみると、3位解熱鎮痛消炎剤、4位消化性潰瘍治療薬、5位総合感冒剤、6位制吐薬、消化器官用剤、7位抗生物質と続きます。どれも非常に使用頻度の高い薬です。
「よくみる処方」は勉強したことを繰り返し復習できて定着しやすい反面、慣れによる油断も生まれやすいため定期的に正しい知識を確認するなど注意が必要です。
妊婦さんはたくさんの不安を抱えていますが、薬剤師が同じ女性であればより相談しやすいですよね。そんな妊婦さんへの服薬指導を考えるキーワードは「不安」と「頻度」です。自分のスキルアップのためにも少しずつでも勉強していきたいですね。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |