突然ですが現在、日本全国にはどれくらいの店舗の薬局があるかご存じですか?大きな病院の前には調剤薬局が乱立していますし、ドラッグストアでも調剤を行う店舗が増えましたね。今回は薬局数とその推移について考えてみました。
厚労省発表の資料(https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk24.html)によると、平成28年度日本全国にある薬局は58,678施設。これはなんと57,818店舗のコンビニエンスストア(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会発表)よりも多いのです。最近ではどんな場所でも見かけるコンビニエンスストアよりも多いとは驚きませんか?
そして人口10万人に対して薬局数が最も多いのは少し意外な佐賀県。全国平均が46.2施設のところ、佐賀県では64.7施設もあります。薬科大の所在地や歴史的背景の他、薬剤師会の力関係など大人の事情もありそうですね。反対に薬局が最も少ないのは福井県。人口10万対36.6店舗だそうです。佐賀県と比べて半分近く少ないですね。
コンビニよりも多い薬局数ですが、どのように推移してきたのでしょうか。もう少し詳しい資料を見てみると、1990年には37,000施設に満たなかったにも関わらず、2000年には47,000施設、2010年には54,000施設と大きく増加している事がわかります。
薬局数の増加とともに上昇しているのが医薬分業率。90年にはわずか12%でしたが、最近では70%近くまで上がってきています。現在薬局数は90年代、2000年代ほど爆発的に増えてはいませんが、緩やかな増加を続けています(平成26年57,784施設、平成27年58,326施設)。
薬剤師飽和などという話題もよく取り上げられますが、実際はどうなるのか気になりますよね。たしかに、薬剤師が終身免許であることや薬科大が増加したことを考えると薬剤師の全体人数は増えますので、これまでと同じ業務内では飽和が起こってしまうかもしれません。
しかし近年注目されている在宅医療のように、薬剤師が今までやりたかった、やるべきだったけれど人数が足りずにできていなかったことは沢山あります。今後薬剤師や薬局が増えることで、こうしたことが実現できるようにしたいですね。
近年の薬局はコンビニエンスストアよりも多いことがわかりました。私たち薬剤師は、同じことをする薬局を闇雲に増やすのではなく、これからどうすべきなのかを考える必要がありそうです。開業だけでなく就職や転職の際にもどのような薬局にするべきかを考えながら選びたいですね。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |