経験したことのない仕事にチャレンジするのは勇気が必要です。失敗したらどうしようとか、仕事についていけないかもしれない、と悩んでいる人も多いはずです。
準備や対策をしっかりすれば、未経験の仕事に転職することは不可能ではありません。成功のポイントを見ていきましょう。
昔から「郷に入っては郷に従え」というように、職場によって仕事のやり方もルールも全く異なります。 未経験の仕事に転職する前に、次の3つのことをしっかりと頭に入れておきましょう。
まず、これまでの知識、経験、やり方は通用しないということです。気持ちを新たにし、謙虚な姿勢で仕事に取り組み、仕事に慣れることを最優先にしましょう。
次に、新しいことを覚え、身につけることが求められるということです。柔軟な姿勢、考え方、積極的に学ぶ姿勢を前面に出して仕事を進めましょう。一般的に、年齢が高くなるにつれ、新しいことを覚えるのが億劫になりがちです。企業薬剤師や病院薬剤師の場合、未経験者の中途採用自体が非常に少なく、年齢が壁になることもありますが、柔軟な対応力を失わないことが肝心です。
最後は、年収が下がることを覚悟するということです。ほぼ間違いなく前職より年収が下がります。未経験者の能力は未知数なため、職場によっては、非正規やパートからスタートする場合もあります。
未経験で入りやすい職場と入りにくい職場があります。
未経験でも入りやすい職場としては、調剤薬局やドラッグストアが挙げられます。スタッフの出入りが割と頻繁にあるので、中途入社の人が溶け込みやすい職場環境で、研修制度が整っているところもあります。 慢性期病院や単科病院の病院薬剤師は、患者さんの容体が安定している、あるいは同じ疾患の人が集まるので、急性期病院に比べて仕事内容がシンプルで、転職者が馴染みやすい職場です。
一方、未経験で入りにくい職場もあります。
急性期病院の薬剤師は緊急対応があり、幅広い年齢層で様々な疾患の患者さんがいるため、業務が複雑な上に、一人何役もこなす必要があり、慣れるまでが大変です。
製薬メーカーは、薬剤の知識以外にビジネススキルや治験、英語など別の知識が必要な場合が多く、未経験ではかなりハードルが高くなります。さらに、MRはネットで情報を取る医師が増えたこともあり、近年求人が減る傾向にあります。
大学病院・国公立病院は新卒採用が中心で、中途採用が少ない職場です。さらに、人間関係やタテの関係が出来上がっている場合が多く、途中から入ると馴染むのに苦労することもあります。
未経験の仕事に転職する際は、まず「未経験OK」と表示された求人を選ぶことです。ドラッグストアや調剤薬局は、比較的求人が多いので、「未経験OK」の求人を割とすぐに見つけられます。とはいえ、応募する際には、研修制度の有無をチェックしましょう。中途入社の人に対する研修やフォローアップ制度がしっかりしている職場なら、未経験のプレッシャーを和らげることができます。
それでも不安な場合は、正社員ではなく、パートや非正規から始めることも検討しましょう。採用側も、未経験者をいきなり正社員に採用するのは勇気がいりますし、転職者もプレッシャーを感じずに済みます。
病院薬剤師の場合、未経験の転職は調剤薬局やドラッグストアに比べてややハードルが高いのですが、慢性期病院でパートや非正規なら十分可能性があり、働きが認められれば正職員になれる可能性もあります。ただし、50代をすぎると求人自体がかなり少なくなりますので、注意してください。
製薬メーカーのMRは求人減とはいえ、20代であれば未経験でも採用される可能性があります。若手なので伸び代が十分あると判断され、給与も低めに押さえられるからです。 治験コーディネーター、臨床モニターは近年求人が増えているので、「未経験OK」の求人があれば、チャレンジしてみてもよいでしょう。
薬剤師が未経験の仕事に転職することは可能です。ただし、これまでの経験や知識が通用しないので、新しく覚えることが多くなります。さらに、年収が減ることも覚悟しましょう。 その上で、自分の目指すキャリアを確認しながら、慌てずに転職準備を進めましょう。"