かかりつけ機能に加えていくつかの機能を備えた薬局は健康サポート薬局として認定されます。認定要件は難しいものも多いですが、薬局を経営していればステップアップのためにぜひ目指したいところ。今回は健康サポート薬局認定の要件についてOTC薬に着目して調べてみました。
健康サポート薬局として認定を受けるためには、様々な要件をクリアする必要があります。まず、かかりつけ薬局の機能があることが基本要件。かかりつけ薬剤師制度の推進、患者さんが使用するすべての医薬品(OTC薬も含む)の把握と情報提供、時間外の相談応需、在宅医療の実績などが挙げられます。
さらにこれらに加えて、地域の医療機関や医師会などの団体と協力して活動したり、健康に関するポスターやパンフレットの掲示をするなど、広告塔としての役割もあります。OTC薬に関わる要件は、患者さんや利用者さんが使用した薬の把握と情報提供、販売。場合により介護用品も取り扱います。
このように健康サポート薬局の認定要件はたくさんありますが、実際どういった苦労があるのでしょうか?意外かもしれませんが、思ったより苦労するのがOTC薬の販売だそう。というのも、基本的薬効群(48品目)全てを並べられる商品陳列棚を設置するのは、都内など敷地の狭い薬局にとって、頭の痛い問題なんだそうです。調剤業務だけでもすぐに待合室が埋まってしまうのにこれ以上スペースは減らせない、ということですね。
問題はそれだけではありません。卸売業者に発注できるのは10個単位だったり、月〇万円以上なければ取引できなかったりと、ルールがあります。チェーン、グループ薬局であれば協力次第でクリアできそうですが、そうでない場合、仕入れにも工夫が必要そうです。
苦労して設置したOTC薬も提供しなければ意味がありませんね。これまで医療用医薬品の調剤のみをしていたのなら、急に情報を提供したり、販売したりは難しいかもしれません。とはいえ、健康サポート薬局となった場合、求められていることは文字通り健康のサポート。患者さんや利用者さんが正しく治療を受けたり、必要のない薬を使ったりしないよう、情報を積極的に発信していかなければならないのです。
そのためにはOTC薬についても勉強する必要があります。独学のほか、各機関が研修を行っているので参加しても良いですね。OTC薬の提供は、自分が良いと思った商品を利用者さんにおすすめできます。コツさえつかめば、処方せん調剤とは違った楽しみがありますよ。
健康サポート薬局への道のりはそう簡単ではないようです。しかし、これらの要件を満たして健康サポート薬局となれば、薬剤師は利用者さんにとってまさに「最も身近な医療者」。生涯勉強を続けるからには、認定のように形として見える結果を目指すのも良い目標になりますね。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |