「祝い金あり」と大きく書かれた転職サイト、見たことありますよね?実は薬剤師の求人で、祝い金や支度金付きをアピールしているものが結構あるんです。
でも祝い金って誰がどうやって用意しているのでしょうか?祝い金20万円とか30万円と言われても、「もらっても大丈夫?」とちょっと心配になりますよね。そこで今回は、もらえる仕組みや、もらった方が得か、落とし穴はないか、といった不安や疑問を検証していきます。
祝い金が出る転職サイトや転職エージェントは少なくありません。なぜ、祝い金を用意しているでしょうか?一言でいうと、一人でも多くの薬剤師に登録してもらうためです。 転職する場合、求人に応募して面接や説明会に参加するのに、当然交通費がかかります。遠方からの参加だと宿泊費が必要になる場合もあります。そうした費用は誰かからももらえるわけではなく、全て自己負担になります。祝い金はそうした転職活動に必要な費用の補填の意味があるのです。
転職エージェントの中には、入職しなくても面接に行くだけで、交通費として数万円を支給するところさえあります。祝い金で優遇して、なるべく多くの薬剤師にサイトを利用してもらいたいと考えているわけです。
祝い金が出る仕組みをご説明しましょう。転職エージェントは、求人先から依頼を受け、求人情報をサイトに公開します。非公開の求人の場合は、登録している人の中から条件に合う人をピックアップして、同意の上求人先に紹介します。つまり職場と登録者をマッチングしているわけです。そして、めでたく就職が成立すると、転職エージェントは求人先から報酬を受け取ります。祝い金はこうして得られた報酬の一部を、転職者に還元するものなのです。
転職エージェントの成功報酬は、薬剤師の年収の25パーセントから30パーセントが一般的といわれます。つまり、年収500万円の求人であれば、125万円から150万円が転職エージェントの取り分になります。そこから、一定の金額を祝い金として薬剤師に還元するというわけです。
でも、せっかくの報酬を分けてしまって、転職エージェントは成り立つのでしょうか?実は、転職エージェントは求人企業に報酬を請求するときに、祝い金を上乗せして請求していることが多いので、損をしない構図になっているのです。 とはいえ、30万円や40万円といった高額な祝い金を薬剤師に還元してしまうと、やはりダメージゼロというわけにはいきません。中小規模の転職エージェントであればあるほど、会社として経費を切り詰める傾向があります。
つまり、転職に際してのフォローアップやコンサルタントのクオリティに影響がでることがあるのです。 それでも、祝い金をやめないのは、転職エージェント同士の競争が激しいためです。ですので、知名度や信頼度、実績がある大手の転職エージェントでは、祝い金を出していないところもあります。
転職に成功して、祝い金ももらえるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。でも、祝い金だけに目を奪われて、転職先を決めてしまってはいけません。転職は今の職場よりも良い環境で働く、キャリアアップするなどが本来の目的です。祝い金につられて慌てて転職先を決めてしまうその前に、転職エージェントの信頼性をチェックしましょう。たとえば、求人数、求人の質、コンサルタントの専門性や態度、フォローアップ体制などを確認するのです。
転職エージェントがやってくれるサービスといえば、まず、転職やキャリアの個別相談があります。職場環境や待遇、キャリア形成といった希望を聞き取って、一人ひとりに合った求人を紹介してくれるのです。その中で、業界の動向や求人先の生の情報を提供してくれたり、セミナーを通して面接力向上をサポートしてくれたりします。 応募書類の書き方指導や採用プロセスのスケジュール調整から、給与や勤務開始日など求人先との交渉まで、あらゆる面で面倒をみてくれます。転職エージェントを選ぶ際には、こうしたサービスが十分に提供されるかをチェックしてください。
それから、コンサルタントとの相性をみることも大切です。良いコンサルタントは、連絡がスムーズでタイムリー、業界知識が豊富です。そしてこちらの要望をじっくり聞いたうえで、希望に沿った求人を紹介してくれます。そのうえ、採用までのプロセスに沿って、進行を調整し適宜アドバイスをくれ、求人先のリアルな状況を教えてくれます。
一方、良くないコンサルタントは連絡が取りにくく返信が遅い、業界知識が少ない傾向が見られます。こちらの要望の聞き取りが雑なわりに、向こうの都合で求人を紹介してきます。採用プロセスの調整がきちんとしていないのに、強引でしつこいアプローチが目につきます。もし、良くないコンサルタントに当たった場合は、遠慮なく交代してもらいましょう。このように、転職エージェントの良し悪しを判断したのち、祝い金の有無も含めて転職先を絞ります。
祝い金は求人・職種によって金額が異なります。例えば、正社員や常勤契約社員なら20万円から50万円、パートの場合は5万円から20万円程度です。さらに、パートの場合1週間の勤務時間数20時間以上が対象のことが多いようです。
また、祝い金はすぐにはもらえません。入社してから数カ月その職場に在籍することが条件です。その上、期間が経過したからといって黙っているともらえません。しかるべきタイミングで、転職エージェントに申請する必要があります。 転職は、あくまでも自分の希望や条件を優先して、祝い金はもらえたらラッキーぐらいの気持ちで臨みましょう。
もしあなたが、現在失業手当をもらっているのであれば、一定の条件を満たせば公共職業安定所から再就職手当、つまり祝い金がもらえる可能性があります。 再就職手当は、支給日数の残り×1日の基本手当の額×給付率で計算されます。支給日数の残りが所定給付日数の3分の2以上残っている場合は60パーセント、3分の1以上3分の2未満の人は50パーセントが支給されます。
失業手当をもらっている人の中には、手当を最後までもらわないと損だと考えて、就職活動を先延ばしにしている人がいるかもしれません。でも、就職にはタイミングが重要です。希望の求人が見つかったら、支給日が残っていても迷わずチャレンジしましょう。
早めに仕事に復帰しても、規定を満たしていれば再就職手当をもらえるので、もらわなかった失業手当をまるまる損するということにはなりません。受け取りには規定があるのでそれを満たすことと、公共職業安定所への申請が必要です。申請手順や必要な書類については、厚生労働省のサイトや公共職業安定所で確認をしましょう。
そのほか、転職エージェントを経由しない直接の求人でも、求人先が支度金を用意している場合があるので、求人情報は細かいところまでチェックするようにしましょう。 公共職業安定所からの祝い金にしても、求人先が用意する支度金にしても、入職してすぐにもらうことはできません。転職先が自分に合わなかったからといってすぐに辞めてしまわないで、ある程度の期間その職場で働く覚悟も大切です。
薬剤師の求人には「祝い金あり」や「支度金付き」というものがあります。もらえるに越したことはありませんが、転職の本当の目的は、自分の希望する職場に入ることやキャリアップすることです。祝い金につられて転職先を安易に決めてしまわないよう注意しましょう。失業手当を受給している人の場合、公共職業安定所から再就職手当がもらえる可能性があります。見落とさないようにこちらもしっかり手続きをしましょう。