みなさんは薬剤師をやっていて、悔しい思いをしたことはありますか?それは医療スタッフとのやり取りの中でしょうか?それとも患者さん?筆者はまだ経験も浅く、悔しさよりも勉強不足を感じることが多いのですが、先日少し悔しい体験をしました。
初対面の会話や美容院などのお店では、どんなお仕事をしているんですか?はよく聞かれる質問です。しかしこれ、うれしい質問とは限りませんよね。特に筆者は免許を持っていても、薬剤師の正社員経験があるわけでもないので、回答に困ってしまいます。本業は大学院生ですが、無邪気に学生ですと言える年齢でもありません。
そんな時、「薬剤師」は本当に便利。語弊はあるのですが、「一応薬剤師です」と濁せば詳しい説明は必要ないですし、たいていの人は好意的に受け止めてくれます。お酒の席などでは放っておいても盛り上がってくれることもあります。ともかく、今回美容院に行った時もいつものように「薬剤師」と答えました。
すると若い男性の美容師さんは「薬剤師ってあの、薬局にいるすごい人ですよね。」と言うのです。この場合「すごい人」は、客に対するリップサービス。つまりその美容師さんにとって薬剤師は薬局にいて、なにかをしている人というイメージしか湧かなかったわけです。
筆者は少し悔しかったのですが、個人的な感情はともかく、薬剤師の弱点を如実に表しているとも思いませんか?同じような場面で医師や看護師について、病院でなにかをしている人、と答える人がどれだけいるでしょうか。おそらくほとんどいないでしょう。変わってきたとはいえ、元々調剤室にこもっていた薬剤師は、あまり積極的ではない傾向があります。
淡々と1人で業務を完了する薬剤師もかっこいいですよね。しかし、薬科大の教育方針や薬剤師会の意見を見る限り、今後はそうも言っていられません。一般の方にも、薬剤師が働く具体的なイメージが湧くくらい関わっていく必要があるのです。
もう1つ悔しく思ったコメントもありました。お互いの仕事は再就職に困らないという話の中で、「美容師は資格とっても終わりじゃなくて、ずっと勉強しなきゃいけないので大変です」と言うのです。これには悔しさも驚きもありました。
薬剤師にとって生涯の研鑽は薬剤師法にも定められた義務ですし、それ以外のどの職業も日々勉強でしょう。単にこの美容師さんが失礼なだけだと片付けてしまうのは簡単です。しかし、一般的に薬剤師は卒業さえしてしまえば楽そうなイメージがあるのかもしれません。
求人広告の薬剤師は、アルバイトでも時給2,000円は下らず、かといって一見ドラッグストアの薬剤師が特別勤勉のわけでもなく。もし、そんなイメージがあるとすれば、払拭しなければならないですよね。破格の高時給を誰もが納得するような、職業へ成長させるべきなのです。
今回のエピソードは、薬剤師として身を粉にして働いているわけではない筆者だからこそ、他にはすごい人もいっぱいいるんだぞ、と悔しく思ったのかもしれません。しかし、改めて社会の中の薬剤師の立ち位置を実感させられる出来事でした。ぜひとも薬剤師全体のイメージを良くするような仕事をしていきたいですね。
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ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |