勤務先の薬局に、来月から薬学実習生がくるらしい?しかも調剤の担当は私!?なんて事態が急に起こると大変。大体は事前説明があると思いますが、イマドキの薬学生がどんな事を思って実習に臨むのか、6年制薬学部の実習事情についてお知らせします。
まず基本的な調剤手技ですが、大学での実習や試験で一通りの手順は習っています。また、たくさん練習もします。ただ、これらは全て教科書通りに並べられた道具や医薬品、設備を使って行うもの。実習先の施設とは勝手が違い、分包機も大学で見ていたものと違います。もちろん発注忘れで欠品だ!なんて事態は初めて。
戸惑いを感じながらも、少しずつ慣れていきます。使えないなあ...と思っても温かい目で見守ってください。口には出しませんが、薬袋に書き忘れがあってはいけない、と意気込んで項目を覚えたのに、薬局では全部印刷だった、ショック...なんて経験も密かにしています。
最近では随分減りましたが、以前は実習生が無給のアルバイトとしてこき使われたこともよくありました。なにも指導されないまま、ひたすらピッキングだけしかさせてもらえなかったり、炎天下の中、何時間も一人でチラシ配りをさせられた実習生もいます。
もちろん、薬局の業務のひとつとして経験させるのはかまいませんし、お客様扱いも必要ありません。それでも、実習はあくまで実習。気軽に使える労働力ではありません。また、服薬指導を1日何件やらせるなどの速さよりも、正確に意味を考えながら、大学で学んだことをアウトプットする練習をさせてあげてください。
6年制薬学部では5年生の春夏頃から就職先を考え始め、インターンや説明会に参加する学生が増えます。しかし、実際に実習を終えてみると考えが変わることがとても多いようです。病院を考えていたが薬局経営に興味が沸いた、など良い転換もあれば、薬局が辛すぎて絶対に就職したくない、といった悲しい転換もあります。
施設や店舗ごとに全く違うことはよく分かっています。そうはいっても実際に2ヶ月半の体験は、その後の人生に大きく影響を与えるよう。また、進路に悩むばかりに時々、薬局スタッフに向かって「薬局に興味はない」なんて言ってしまうこともありますが悪気はありません。悩みながら精一杯背伸びをしているのです。どうか大目に見てあげてください。
当たり前ですが、実習生の能力には大きな差があります。社会は実力の世界ですから、少し対応に差が出るのは仕方ないでしょう。しかし、あからさまに出身大学で差別するようなことは絶対にしてはいけません。未来の薬剤師を育てる重要な役割として、ぜひ学生の成長を促してあげてください。
![]() |
ちゃちゃ 薬剤師。大学で研究をしながら週末はドラッグストアで勤務。見聞を広めるため医療系ライターとしても活動中。 |